チベット映画『リンカリンカ~あの夏の先』が公開される。チベットの女性監督による映画が日本で公開されるのは、これが初めて。チベット映画といえば、青々とした草原や遊牧民の暮らしなどをとらえた作品をイメージする人が多いかもしれないが、1995年生まれのカンドゥン監督は、現在のラサの若者の姿を瑞々しく切り取って見せてくれる。

カンドゥン監督

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『リンカリンカ~あの夏の先』あらすじ
映画監督を志すサムキは、北京から故郷のチベット・ラサに帰ってきた。小学校時代の親友ラモと決別することになったある出来事から始まる、自身の子供の頃の記憶を映画にするためだった。故郷で迎えてくれた父親は、以前と変わらず何くれとなくサムキを案じ、世話を焼こうとする。映画の撮影が進むうち、同世代が集まった飲み会でサムキはラモに再会する。2人は心に棘のように刺さった出来事について語り合う。

故郷の記憶は、無数の“夏の断片”

――この映画の原題は『一个夜晩与三个夏天(一つの夜と三つの夏)』です。どんな意味が込められているのでしょうか?

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監督 この映画は、2人の女の子が再会する夜の場面を軸に、彼女たちが成長する過程で経験する3つの“夏”をつなげる構造になっています。私は中学から“内地”(漢民族が多数を占める、いわゆる中国)の都市に進学したので、私や周りのチベット族の友人たちは、毎年夏にしかラサに帰れませんでした。だから故郷の記憶といえば、無数の“夏の断片”から生まれたものなのです。

映画『リンカリンカ~あの夏の先』

――主人公のサムキは上海の中学に進学しますが、監督はどちらの中学に進学したのですか?(サムキは、選抜されたチベット自治区の学生が、教育条件のいい都会の中学・高校で学ぶ「西蔵班」〔チベットクラス〕に進学する)

監督 広東省広州です。中学の3年間は広州、その後、北京の高校に進学し、そのまま北京の大学で学びました。

 初めて広州に着いたとき、あの蒸し暑い気候に適応できなくて、頭がぼうっとしてしまいました。ラサ以外の土地に行くのも初めてだったので、カルチャーショックは大きかったです。当時は普通話も今ほど普及しておらず、私は広東語を全く話せなかったので、かなりホームシックになりました。