用意した写真をアップするとオリジナルのAV動画に…
また、アダルトビデオの顔を入れ替えることができるサービスもある。アダルトサイト「フェイススイッチ」が代表的だ。
ここでは、サイト内のAV作品の出演者の顔を、自分が用意した写真(付き合いたい女性や職場の後輩、友人・知人などの写真)の顔と差し替え、ディープフェイク動画を生成することが可能だ。無料版と有料版とがあり、ダウンロードこそできないものの、オリジナルのAV動画を簡単につくれてしまう。これがどれほど危険なものか、子をもつ親なら想像に難くないだろう。
NPO法人チャイルド・ファンド・ジャパンと追手門学院大学の調査によれば、日本の16~24歳の男女のうち3.7%がディープフェイクポルノの被害に遭った経験があると回答している。男女合わせて1クラスに1人の割合だが、被害者が気づいていないだけで、実態ははるかに多いだろう。
驚くのは、こうした犯罪が若い人たちの間で引き起こされている点である。
警察庁の発表によれば、2026年の上半期に18歳未満が被害者になったディープフェイクポルノ事案は123件で、前の年と比べて倍増している。実は、加害者の7割近くが同じ学校の生徒か、同級生という実態があるのだ。
『いじり』『ギャグ』という軽い感覚の加害者たち
一体、10代の若者たちは、どういう感覚でディープフェイクポルノを生成するのか。
首都圏のある高校では、ここ数年、ディープフェイクポルノに関するトラブルが4件起きたという。同校の40代の教員・武井宗之(仮名)は次のように話す。
「学校でのディープフェイクポルノは、特定の生徒にたいするいじめとして捉えられがちです。ただ、当人たちは、『いじり』とか『ギャグ』といったもっと軽い感覚でやっていますね。
私が中高生の頃は、一部の生徒がエロ本に同級生の顔写真を貼って遊んでいました。今の子もそれと似た感覚なんでしょうが、AIが介在することによって重大な犯罪になってしまっている。科学技術の負の側面だと思います」
こうした傾向は、子供たちがカメラ機能付きの携帯電話を持ち出した頃から発生している。
語弊はあるかもしれないが、かつて子供たち同士のスカートめくりやズボン下ろしといった行為は「悪ふざけ」とされて見過ごされてきた。だが、カメラ機能付き携帯を持つ時代になると、彼らはその行為を撮影し公開するようになった。そのため、彼らの悪ふざけは児童ポルノという重大犯罪になった。そして今、子供たちが生成AIを使用しだしたことで、ディープフェイクポルノという新たな犯罪が生まれているのである。
武井が懸念するのは、当事者がそれをする感覚が昔と同じくらい軽いという点だ。科学技術を利用することで悪ふざけが犯罪になったにもかかわらず、やる側の意識は変化していないのだ。

