「同人ポルノ」全盛期の時代
武井はつづける。
「官能小説はかわいい方で、ITスキルの高い生徒たちの中には、マンガやアニメといったアダルトコンテンツを作れる人もいます。AIによって一から十まで生成してオリジナルの作品を制作するんです。このジャンルは一般的に人気があるらしく、上手な子であれば立派なビジネスになるようです」
近年、アダルトメーカーではなく、素人がAIを用いてポルノ作品を作る流れが生まれている。「同人ポルノ」と呼ばれるジャンルがそれだ。
国内最大手のアダルトコンテンツサイト「FANZA」では、従来のアダルトビデオやライブチャットと並んで、「AI」「同人」というコンテンツがある。ここには、素人がAIで作ったコミック、動画、CGといったポルノ作品が約30万タイトル並んでいる。1作当たりの価格は、500円~2000円ほどだ。
FANZAは日本国内の企業が運営する合法的なサイトなので、素人が創作した作品をここで販売する場合は、運営側の厳正な審査を受けなければならない。当然、高校生の参加は禁止されており、それ以外にも実在の人物の使用禁止、モザイク処理の必須、出品本数の制限など法律に照らし合わせた細かな規定もある。
では、高校生以下の年齢の子供たちが制作や販売をしないのかといえば、そういうわけではない。親や兄の身分証を使って年齢認証をごまかしてやったり、SNSを悪用して作品を個人間で売買したりする子たちが出てきているのだ。
武井は言う。
「昔はよほど絵が上手な子でなければ、アダルトアニメを制作することなんてできませんでした。できたとしても、恥ずかしくて公言しなかったでしょう。
でも、今はAIを使えば誰もが簡単に作ることができてしまう。また、作品のクオリティ=ITスキルの高さと見なされるので、恥ずかしげもなく堂々と作りますし、それで大金をつかめればビジネスとして成功したというイメージが広がる。そうしたこともあって、参入するハードルがかなり低くなっているのです」
少し前、武井は卒業した男子生徒から在学中にアダルトコンテンツを自主制作していたことを教えられたそうだ。その男子生徒はSNSを介して販売し、1年ほどで300万円を稼いだと豪語していたという。
一時代前までアダルトコンテンツは、若者にとって消費するものだった。だが、今はAIの普及によってクリエイターとして制作するものになりつつある。時代の流行や性に敏感な若者たちが、ポルノ制作の最前線に躍り出る日が到来しているのだ。
こうした流れを、社会はどう受け止めて対応していくのか。IT企業の規制や、リテラシー教育に期待するだけでは、根本的な解決にはならないのは明白だ。
INFORMATION
本連載では、「若者社会におけるAIの光と影」をテーマに取材を進めています。その中で「AIによるショート動画などのAIスロップの大量生産に詳しい方」「推し活アプリやAIパートナーへの課金に悩まれている方」「AI教育・AI保育の課題に詳しい方(教育・保育者含む)」を探しています。
取材に協力していただける方は、簡単なプロフィールと提供いただける情報を明記の上、著者・石井光太氏のホームページから連絡下さい。
