1000人以上の参加者を集めていた画像販売事件
彼はつづける。
「学校側も処分には頭を悩ましています。私が勤める高校では、友達内だけで悪ふざけの延長でやった程度だと判断した場合は、保護者を呼んで厳重注意の上で停学処分にしています。警察に通報することはありません。
しかし稀に生成したデータをネットで公開するケースがあります。本校の生徒ではありませんが、他校では作ったデータを売買していた子がいたという話も聞いています。こういうケースでは、警察に通報し、生徒も一発退学になります」
ディープフェイクポルノを販売するとはどういうことか。未成年の事案はほぼ詳細が報じられないが、2025年に起きた成人の例を示そう。
京都府警察に20代の男性がディープフェイクポルノを用いて金儲けをしていたことで逮捕された。
この男性は、SNS「Discord」上で会員制のグループチャットを運営し、1000人以上の参加者を集めていた。そこで「主のコラ作品公開部屋」と名付けたページを設け、自身が作成したディープフェイクポルノの画像を公開し、会員から依頼があれば一つ数百円で画像生成の仕事を請け負っていたという。
ただ、日本には他国と違ってディープフェイクポルノに特化した法律が存在しない。そのため、京都府警察は、わいせつ画像をネット上に出したとする「わいせつ電磁的記録記録媒体陳列」の疑いで逮捕した。その量刑は軽く、逮捕からわずか3カ月後に開かれた裁判では、執行猶予付きの判決が下され、男性は刑務所への収監を免れることとなった。
おそらく未成年がディープフェイクポルノを売買する場合も、これとほぼ同じだろう。ディープフェイクポルノは、一般のポルノのような不特定多数向けコンテンツというより、依頼者から「この人物のディープフェイクポルノを作ってくれ」と注文を受けて作られることが多い。だが警察に通報されても、ほとんどの場合が不処分、ないしは保護観察処分で済まされているのが現状だ。
実在の女子生徒をモデルにAIで官能小説を作り……
武井によれば、10代の若者のAIとポルノの問題は、ディープフェイクポルノより一歩先に進みつつあるそうだ。
武井の言葉である。
「私が心配しているのは、子供たちがAIを使って簡単にアダルトコンテンツを作れるようになっていることです。
たとえば、うちの男子生徒が実在の女子生徒をモデルにして官能小説を作ったというトラブルがありました。AIを使って、同級生たちが性行為をする物語を作成し、生徒間で共有していたんです。女子生徒の親から相談があって発覚しました。調べたところ、男子生徒が使用していたのは、官能小説を作れるAIソフトでした」
ChatGPTやGeminiなどのAIでは、画像同様にテキスト生成でもフィルターがかけられていて、倫理規定に触れる文章は作れない。
だが、ネット上には、それらのAIに官能小説を創作させるための上手なプロンプトの書き方を指南する情報があるし、官能小説を生成できるソフトも公開されている。それを使えば、実在する人物のわいせつなシーンをプロの小説家顔負けの文章で生成することができる。

