AIがユーザーの嗜好を分析して提案
クレジットカードによる課金など、お金を自由に使えない若者が、手軽な海外の無料動画配信サイトにアクセスするようになるのは致し方のないことだろう。
こうした海外の動画配信サイトにはあらゆるジャンルの作品が無数に用意されている。大手サイトであれば、アップロードされている動画は1000万本以上だ。個人では一生かけても見ることのできない数だ。
これらの膨大な動画の視聴を手助けするのが、サイトに組み込まれたAIのシステムだ。動画はすべてカテゴリやタグが付けられており、ユーザーの行動データを機械学習で分析し、お勧めの作品を示す。
たとえば、「学校」に分類される作品を視聴すれば、そのデータを元にさらに細かく個人の性癖に合ったものが大量にレコメンドされていく。そのため、個人の性的な嗜好がどんどん狭められ、深められていくことになる。ここから引き起こされるのは、性癖のマニアック化だ。
AV新法が成立するも、海外の配信サイトは野放し
こうした動画の中には、権利の侵害に当たるようなものも数多あるという。小野は言う。
「多くの国内メーカーは、AV新法をはじめとした法律や規制に則って合法的に作品を作り販売しています。
しかし、海外のプラットフォームには海賊版などがアップされることも多々あり、国内メーカーや女優さんの権利が守られないことが少なくありません」
近年、日本のAVメーカーは、これまで何かと批判の矢面に立たされてきた。
記憶に新しいところであれば、契約内容などに人権上の不備があるなどの声が上がり、2022年にAV新法(アダルトビデオ出演被害防止・救済法)が成立した。契約者が無条件でそれを解除できたり、契約から作品の公表まで5カ月の猶予を持ったりすることになった。
出演者の人権を守るという観点からすれば、新法の成立は不可欠だ。これによって出演者の人権はある程度保障されるし、あからさまに倫理を外れた内容も生まれにくくなるだろう。
だが、国は国内のメーカーを締め付ける一方で、海外の配信サイトはブロッキングをするなどの対処はせず、野放しにしている。そのため、桁違いのタイトルを無償で提供している海外の動画配信サイトの影響力は増すばかりだ。
筆者がこの業界に詳しい人に尋ねたところ、これらのサイトには海賊版の他にも、メーカー以外の個人、あるいはグループによって個人撮影された自主動画が大量に含まれており、中には暴力性の高いものまであるという。日本の法律の及ばぬサイトで、アルゴリズムに従って無制限に浴びるように動画を見るというのは、知らず知らずのうちにそういう犯罪に間接的にでもかかわってしまうことでもあるのだ。
動画配信サイトでここ数年の間に起きている変化として、AIによって生成された「AIポルノ」と呼ばれる動画が増えていることが挙げられる。このジャンルでも、国内サイトと海外サイトとでは明暗がくっきりと分かれているらしい。

