アオキがイオンに「三行半」を突き付けたワケは……
3つ目のポイントが、アオキを成長させたビジネスモデルだ。
同社はこれまで各地の経営が厳しくなった中小スーパーを買収して、次々にフード&ドラッグ化して再生した実績を多数持っている。こうしたドラッグストアは他にない。
買収したスーパーでは、生鮮部門を残して、自社の薬粧・雑貨売場を導入する。スーパーの損益分岐点は食品の場合5億~10億円と大きいが、アオキの薬粧損益分岐点は低いため、2億円弱の非食品売上さえ確保すれば、店舗を黒字化できる。こうして再生できる中小スーパーの店舗はまだ全国にいくらでもあるだろう。人件費など運営コストがインフレによって高騰すれば、どんどんとターゲットが増えていくはずだ。つまりアオキの成長余地は、当面いくらでもある。
フード&ドラッグによるこれからの人口減少社会への耐性があり、再生可能な候補店が山のように存在し、巨大大手が同じモデルを持っていない。それならば、イオンの手を借りずとももっと成長できるはずだ、と考えるのはごく自然なことだ。ツルハとウエルシアの統合という同盟相手の巨大化は従属関係へと向かう可能性が高く、ここで独立しなければもう二度とチャンスは来ない。そんなタイミングだったのだろう。
幸か不幸か、そうした状況を見てアオキの経営に海外のアクティビストが注文を付け続けている。そんな今こそ、少しでも勝ち筋があるのであれば、リスクを覚悟で成長に向けて挑戦するのは当然だ。
ただ、イオンとの同盟を破棄することは、当然ながら価格競争力のあるイオンのプライベートブランド(PB)食品を失うことでもある。食品の価格訴求力あっての薬粧ついで買いこそがフード&ドラッグのキモであり、この点はアオキのビジネスモデルの根本を揺るがしかねない。アオキとしては自社PBの整備を進めてきて、現状は売上が300億円ほどに成長。2030年5月期には800億円まで伸ばそうとしている。これによってイオンの穴を代替可能としているが、その点は疑問符が残る。
食品を本業とするイオンが長年にわたって構築してきた食品PBのコスパは、ローカルドラッグストアとは比べようもない。つまり、アオキが乾坤一擲の勝負に出るためには、食品PBで対抗可能なパートナーと新たな同盟を組むことが必要である、ということになる。

