一躍脚光を浴びた『全裸監督』
そんな森田が一躍脚光を浴びたのはよく知られるように、1980年代のアダルトビデオ業界を描いた配信ドラマ『全裸監督』(2019年、Netflix)で、実在のAV女優・黒木香を演じたことによる。それはまさに「自分には何ができるのだろうか」という模索の末に得た役だった。
黒木香の役を決めるに際しては、オーディションが行われた。それというのも、強い個性を持った役どころとあって引き受ける女優はいないだろうと思われたことと、また海外でも配信されることを考えれば、日本国内で有名な女優よりはまっさらな人がやったほうがいいのではないかと制作陣の意見が一致したからだ。
のちに総監督の武正晴が森田も交えた座談会で、オーディションを振り返って《どこかにいい人がいないかなあと思ってたら、ドア開けて入ってきたんです、この人が》と表現するほど、彼女の登場は鮮烈だったらしい(『週刊プレイボーイ』2019年8月26日号)。
アイラインで脇毛を描いてオーディションに臨んだ
森田によれば、武は以前から尊敬していた監督だけに、オーディションの話をもらうと迷わず「受けます」と答えたという(『FRIDAY』2019年10月4日号)。このとき、台本を読むと黒木がトレードマークだった脇毛を見せるシーンがあったので、自分の脇の下にアイラインで毛を描いて審査に臨んだことが語り草となっている。オーディションまで時間があれば、本当に脇毛を伸ばすつもりでいたらしい。
もっとも、彼女に言わせると、印象を残したいということでそうしたわけではないらしい。ほかのオーディションでも、台本に弁当をつくってあげるシーンがあれば、実際につくって行っていたので、《それと同じで、わき毛とあったので“ないから描いていかなくちゃ”くらいの気持ちでした》という(『週刊女性』2020年3月3日号)。
もちろん、オーディションに来たなかでそこまでやる人はいなかった。さらに彼女は、ほかの候補者が審査を受けているときも、感情を乗せながら見ていたという。ほかの人が結構悲しいハードな場面を演じるのを見て、森田がポロッと泣いた表情がすごくよかったと、監督・脚本で参加した内田英治は先の座談会で語っている。

