7キロ増量、白目をむいて倒れ込み…
彼女はこのために半年以上にわたって格闘技を特訓し、食事管理で体重を7キロも増やしたという。公開時の対談では、《苦労はしたけれど…体から作る役作りは信じられるというか。嘘をつかず、役を生きる大事さを改めて教わりました!》と語っていた(『Myojo』2026年1月号)。
映画の後半では試合の場面も出てくるが、森田は演技とは思えないほど激しい死闘を繰り広げ、最後には白目をむいて倒れ込む。これを見ると、彼女についてよく言われる“カメレオン俳優”という常套句で片づけてしまうのは生ぬるいとさえ思えるほどだ。同作での演技により、日本アカデミー賞の最優秀助演女優賞をはじめ映画界の多くの賞に輝いたのは当然だろう。
村上春樹作品の舞台では1人2役を熱演
今年(2026年)の頭には、村上春樹の長編小説を、フランスの演出家・振付師フィリップ・ドゥクフレの手により舞台化した『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』で初舞台を踏んだ。
同作において森田は1人2役で、「ハードボイルド・ワンダーランド」の“司書”と「世界の終り」の“彼女”と2つの世界にそれぞれ登場する女性を演じた。2つの役はまったく別の人格とはいえ、対になっているような部分もあり、2つの世界をつなぐかなめというべき難しい役どころだった。しかし、だからこそ彼女が起用されたのだろう。
公演を前にしたインタビューで彼女は2つの役について、「ハードボイルド・ワンダーランド」の司書が《誰かに強く依存せず、自分の軸を持って生きている女性》でありながら、《内面には言葉にしきれないものを抱えており、あえて多くを語らないところに魅力がある》のに対し、「世界の終り」の彼女は「心がない」とされるが《「完全に心がない」というより、奥の方には心があるのではないかと感じています》との解釈を示していた(『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』公演プログラム、2026年)。
こうした解釈のもと彼女の演じた2人の女性はどちらも魅力を放ち、それぞれの世界のなかでたしかに生きている、と思わせた。

