男性に経済的に依存しない
初めて褒められたと感じたのは、29歳になってからのことだ。ある新聞が高市を取材した際、和子にも取材があった。その結果、記事の末尾に設けられた「母から一言」という欄で、高市を「意志が強く、立派だと思う」という趣旨で評する和子の談話が載った。高市は、刷り上がった紙面で初めてそのことを知ったという。高市はこう記す。
〈記憶にあるかぎり、褒められたのはこれが初めて〉
あくまで高市の述懐であり、実際に29年間、一度も褒められたことがなかったかどうかは定かではない。だが、己を厳しく律するという教えが高市の中に息づいたのは確かだろう。
高市によれば、他にも、母から繰り返し聞かされていたことがあった。男性に経済的に依存しないこと、仕事が辛いからといって結婚を逃げ道にしないこと、夫に突然何かがあっても自分で食べていけるスキルを身に着けておくこと。こうした教えを20年以上にわたり聞かされた結果、〈男性への依頼心は限りなくゼロ〉(前掲書)になったという。
一方で、高市は和子について、外で働きながら家事をこなし、朝や夜の時間を使って家族の洗濯やアイロンがけを済ませていた、家が散らかっていたことはなかったとも書いている。それは、7月の三連休に自身のXで、睡眠不足が常態化する中で久しぶりに衣類のアイロンがけや裁縫ができたと投稿したことにも通じる。
女性だからといって男性に依存するのではなくバリバリ働く。同時に、女性としての家での役割も忘れず家事もしっかりこなす──。母の教えをそう受け取ってきた高市の姿が滲むようだ。
※約7000字の全文は、月刊文藝春秋のウェブメディア『文藝春秋PLUS』と『文藝春秋』2026年10月号に掲載されています(甚野博則×本誌取材班「高市早苗『苛烈な母への愛と畏れ』」)
・弟は泣きながら土下座
・仕事は男以上、家事は完璧
・当選祝いの席で離党を告げる

