打撃を見るかぎり“ただの天才”
「これは俺の持論であって、合っているのか、間違っているのかどうかはわからないけど、バッティングは“アタマ”ですよ。野球頭脳。頭の悪いヤツはダメ。過去の強打者はやっぱりみんな野球頭脳に優れていたといえる。じゃあ大谷はどうかというと、しゃべった機会も少ないから、なんともいえないところはあるけれど、打っている映像からの印象で言えば“ただの天才”ですよ。天才的なバッティングとしか映らない。天才がその才能で打ってはいるけれど、そこに頭脳的なものはあまり感じないな。
とはいえ、メジャーで“大谷シフト”を敷かれていることを見れば、これは強打者として認められた証拠でもある。相手は大谷の打撃を嫌がっているからこそシフトを敷いてくるのだからね。だけどそれに左右されてはダメなわけで、シフトを無視した打撃をしたほうがいい。王(貞治)もシフトなど関係なしで引っ張り続けたように、相手に惑わされることなく自分のバッティングを常に心がけることが大事になる。
俺もヘボバッターだったけどシフトを敷かれていたことがある。『セカンド方向がガラ空きだから流してやろうか』と思ったけれど、実はそれが向こうの思うツボ。守備の空いているところを狙って毎度ヒットにするなんてことはできるわけがないし、それをやろうとすればバッティングを崩すことにもなる。俺もそれがわかってからはシフトに左右されてはいかん、と自分のペースで打つようにしたんだけどね。大谷の場合はシフトの影響があるのかどうかはわからないけど、引っ張るよりも外角の球をセンターから左方向に流して打っているのが目立つよなあ。
俺のキャッチャーとしての経験からすると、広角に打ってくる打者というのがいちばん嫌だったけど、じゃあ強打者とはなんなのかといった時には果たしてどうなのか。王はライトへの引っ張り専門だったからね。最近は強打者の定義も変わってきたのかもしれないけど、レフトに流してばかりでは、やっぱりホームランを量産することは難しいと思うよ。
あと、やはり俺が現役の時にやっかいだったのは選球眼のいいバッター。『好球必打』という言葉があるけど、これがバッティングの基本。その点でいうと大谷はどうなんだろうね」
大谷の日ハム時代の5年間における三振率を仮に三振÷打席数で計算すると、2割7分となる。極端に三振の少ないイチローとは比べるべくもないが(2017年までの日米通算で9分5厘)、NPB歴代最多三振の清原和博(2018年時点)と比べても(1955三振÷9428打席=2割7厘)、見劣りする数字である。
つまり、シフト対応など「アタマ」の部分と「選球眼」という野村理論における強打者の定義にそぐわない部分を、「天才性」で補っているというのが現状の大谷評ということになろうか。
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また今後見舞われるであろうメジャーの洗礼への危惧もあるという。
