そして少数与党になることをいとわぬ、無謀ともいえる連立合意。「自民党総裁にはなったけど、総理にはなれないかもしれない女と言われている、かわいそうな高市早苗」と自虐していた時期に後先も考えず、維新は飛び込んできた。永田町と霞が関でよく言われる「首相にしてくれた恩義」だけではなく、無所属、新進党から総理にたどりついた高市は関西でいうところのヤンキーの無鉄砲な部分も維新と共通する。
「約束を守る」でシンクロ
同じ関西弁を話すことも両者の距離を縮めた。幼少期から吉本新喜劇の文化圏で育ち、ボケとツッコミの会話にもなじみがある。維新や吉村のユーチューブチャンネルに登場する高市の言葉は関西弁で、まさに掛け合いが展開される。吉村と藤田は、高市が好む「イケメン」でもある。
蜜月の決定打は高市が誰にも相談せずに断行し、歴史的勝利をおさめた衆院選と、その後の展開だった。
維新は一言もはさまずに衆院解散・総選挙の判断を尊重し、高市が公約とした食料品の消費税ゼロ%も強く支持した。吉村は「公約は国民との約束。約束は守らないといけない」と何度も繰り返した。
ここで維新が大切にしている「約束」が、消費減税にこだわる高市の姿勢と重なる。遠巻きに眺める幹部もいる自民党に比べると、消費税問題で維新は一丸となっている。
有識者からの異論、市場の反応。消費減税への疑問と懸念は日を追うごとに大きくなる。既存の大メディアも反対論に染まり、自民党内にも慎重論が広がる。それを突破する大義は「国民との約束」になる。高市が消費減税の実現にこだわればこだわるほど、維新の「約束を守る」とシンクロする。
高市は与党幹部に「これは公約なんだから。国民との約束なんだから」と繰り返したという。
※この続きでは、高市早苗首相と日本維新の会の「ヤンキー魂」をさらに読み解いています。約7100字の全文は、月刊文藝春秋のウェブメディア『文藝春秋PLUS』と『文藝春秋』2026年10月号に掲載されています(新町隆史「高市・維新『関西ヤンキー連立』が呼ぶ消費税解散」)。
■新町隆史(しんまち・たかし) ジャーナリスト。長年、永田町や霞が関を取材してきた
