国際政治学者の佐橋亮氏が、「底線」という言葉を軸に国際情勢を考える連載「底線思考」。第3回では中国の現在地について考察した。

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中国への日本人の誤解

 日本には、中国に関して三つの負のイメージがあるように見える。実のところ、中国専門家ですら、こうしたイメージを繰り返し再生産したりもする。第一に、中国経済は破綻に向かっている。第二に、中国では権力闘争が常に激しく、また最近では軍との関係にも緊張が見られ、それが危機につながりかねない。第三に、国際的には孤立を深めている。こうした決めつけは、必ずしも正しくない。今回は中国の実像に迫ってこれらのイメージを検証する。そこから見えてくる本当の中国の危うさは、習近平の下で国家の物理的な強靭さを高める一方で、判断の修正を行うための柔軟さに欠け、世界情勢の見極めにも誤算の余地を残すことにある。それが私たちの底線を破りかねない。

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習近平 Ⓒ時事通信社

 中国経済は、確かに近年、全てが順風満帆というわけではない。不動産がその典型例だ。しかし、依然として強さもある。科学技術のエコシステムは、アメリカが舌を巻くほど良く構築されている。中速に成長する製造・技術大国と、低温の家計・不動産・民間経済が同居していると考えるのがよいだろう。

 GDP成長率は、今年上半期で4.7%。付加価値額でみると装備製造業は9.3%増、ハイテク製造業は13.3%増である一方、不動産開発投資は減少し、民間投資やインフラ投資も減少を見せている。それは、中国政府自身が認めているところだ。