いよいよ築島へ……!
「ちょっと待っててくださいね」
そう言って車から降りた築島さんは、港に停めてあった船に乗り込んでいった。エンジンを掛けて船を岸に近づけたら、全員でバケツリレー方式で荷物を船に積み込んでいく。全て積み終えたら、ライフジャケットを着用して、船に乗り込む。海の上で揺れる船に片足を載せるのは、少し緊張した。
さて、ここから築島へは船で5分ほど。定期船のない島の住民たちは、全員「マイ船」を持っている。それは、築島さんが子どもの頃から変わらない光景だという。車の免許を持っていない人はいても、船舶免許を持っていない人はいない、というから驚きだ。
では、島外から築島を訪ねたい場合は、どうしたらいいのか。
以前は、渡し船を生業にしていた方がいて、役所などを通じて連絡を取ることで、船を出してもらえたらしい。しかし、その方が亡くなって以降は、船舶免許と自家用船を保有するか、築島さんのような島の関係者に個人的にお願いするしか、島に渡る手段はないのだという。
それも、この島が知る人ぞ知る存在になっている理由なのかもしれない。
島には公道がなく「ナゾの乗り物」で荷物を運ぶ
そんな話をしている間に、船は築島に到着した。今度は、船から荷物を1つずつ下ろしていく。少し動くと揺れる船から、荷物を海に落とさないように、またバケツリレーで慎重に。
すべての荷物を島に下ろしたら、築島さんが見慣れない乗り物のようなものを運んできた。荷物を運ぶための車、「運搬車」というそうだ。
実は、築島には公道がない。そのため、島内では車が走れない。代わりに、住民は荷物を運ぶために1家に1台、この運搬車を持っている。船から降ろした荷物は、運搬車でまとめて運ぶのが、いまも昔も変わらない島の常識なのだという。
運搬車を押して、宿に向かう。徒歩で、5分もかからないほどの道のり。その間にも、気になるものがたくさんあった。
例えば船を降りてすぐの港は、深刻な人口減少に悩んでいるとは思えないほど、整えられていた。草木はきれいに刈られているし、公営のトイレや水道まで完備されている。しかし、人口たった4人のこの島で、一体誰がこのトイレや水道を使うのだろう。
築島さんに聞いたところ、時々釣り人が訪れ、港にテントを張って夜釣りを楽しむ人もいると教えてくれた。(つづく)
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