「そんげな島、あったっけ?」
宮崎県串間市から200メートルほどの沖合に浮かぶ小さな島の「築島(つきしま)」。かつては漁業で栄えたものの現在は人口がほぼゼロ状態で、本土との間に定期船が通っていないことから、地元・宮崎県の住民でも築島の存在を知る人はかなり限られている。
廃墟となった学校がそのまま残され、年季の入った選挙掲示板――時の流れから取り残されたような築島に、旅好きライターの仲奈々さんが1泊2日で滞在し、現地を取材した様子をお届けする。取材には、島生まれで現在は宮崎市内の「青島」と築島で二拠点生活を送っている築島宏樹さんが同行してくれた。
立ち並ぶ家のほとんどは「空き家」
人口4人となったいまでも、各家庭に電気と水道は完備されている。ちなみに、築島さんが幼い頃はガスがあったそうだ。
「昔は、ガス屋さんが港まで島民用のガスを持ってきてくれて、それをみんなで協力して船で運んでいたんですよ。ただ、ガスを運ぶ大変さと、火災が起きても消防車が来られないという点での安全面から、オール電化が進んでいきました」
港から住宅街に向かって歩いていくと、倉庫が並んでいた。住民たちが漁で使っていた倉庫だが、いまはそのほとんどが空き倉庫になっている。同じように、住宅も空き家になっているものがほとんどだ。
歩いているうちに、本日泊まる宿に到着した。
目の前に海が広がる、2階建ての広々とした一軒家。家の前には広いテラスがあり、海を一望できる。天気がいい日は、ここで食事することもあるそうだ。
この宿は、もともと築島さんの父の知人が経営する会社の保養所だったもの。数年前に築島さんが購入・リフォームし、民泊にするべく準備を進めてきたという。



