中国の軍事行動に台湾はいかなる備えを進めているのか。台湾の軍トップ、国防部長(大臣)の顧立雄氏が初めて日本メディアのインタビューに応じ、高市早苗首相の「存立危機事態発言」についても答えた。

 峯村健司氏の寄稿「台湾国防部長 中国の新型統一戦争に屈しない」から一部紹介します(文中敬称略)。

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台湾単独で耐え、日本が後方支援

 米軍の来援を前提にしない──これは台湾軍の作戦思想の根本的な転換を意味する。背景には、米側の冷徹な認識がある。筆者は「新型統一戦争」について、トランプ政権で国防次官を務めるエルブリッジ・コルビーらと、3度にわたり意見交換をしたことがある。このシナリオに対し、米軍はどのような反応をするのだろうか。コルビーらの結論は明確だった。

高市早苗首相(左)と台湾の顧立雄国防部長 ©時事通信社/台湾国防部提供

「中国軍による明白な軍事侵攻がない『グレーゾーン』に対し、米軍としては全面的な軍事介入はできない。台湾軍が単独で持ちこたえ、それを日本が後方支援することが重要となる」

 顧立雄の強気の発言の裏側には、こうした米側の意図があるのだろう。最近、台湾では有事の際には米軍は助けてくれないという「疑米論」が広まっている。米軍の支援がなければ台湾の人々が動揺しかねない。だからこそ仮に米軍の介入がなくても単独で戦えるという姿勢をあえて顧立雄は強調したのだろう。

 実際、総額約140億ドル(約2.2兆円)の武器売却パッケージは、2026年1月に議会承認を経て大統領の署名を待つ状態にあった。しかしトランプはこれを「保留」にしたのだ。習近平が9月下旬にワシントンを訪れ、ホワイトハウスでトランプと会談する方向で両政府は調整している。それまでは、トランプは台湾への武器売却に署名しない可能性が高まっている。台湾の命運を左右するカードが、当事者である台湾の頭越しに、大国間の取引材料にされているのだ。