「みんなちゃんとしている…でも、どこかおかしい」
――堂場さんが描く成功者には、露骨な悪人ではないのに、どこか癖がある人が多い気もします。
堂場 ちゃんとしていない人が、お金を儲けたり、社会的に影響力のある立場についたりできるのかな、とは思うんですよね。
だから基本的には、みんなちゃんとしている。
でも、なんかどこかおかしい、みたいなね。
――お金を見せびらかさなくても、振る舞いには何か出るものですか。
堂場 例えば、礼儀にうるさい、とかでしょうか。「俺を大事にしろ」っていうことじゃないかと思うんですけどね。
――『死と金』で亡くなる人物はまさに「ちゃんとしている」人ですね。
堂場 その死がおかしいんじゃないか、ということで二階堂が調べ始めるんですが、この人は非常に真面目にビジネスをやってきて、それを広げて、60歳でさっと引退した。
その後はボランティアというか、いろいろ社会貢献のほうへ行った人です。
なんとなくアメリカのIT長者を思い起こさせるところがあって。
なぜ、この人の死に問題があったのか
――仕事で成功し、引退後は社会に還元する。かなり高潔な人物に見えます。
堂場 こういう人は書いていて楽しかったですね。ただ、それゆえに、なぜこの人の死に問題があったのかというところにたどり着くと、ちょっと悲しい話になる。
――高潔だったことと、その死は無関係ではない?
堂場 そうですね。それゆえにプライドも高い。その人が……というところですよね。
普通は「死なないため」に金を使う
――そこで、帯にある「『完璧な死』は買えるのか?」という問いにつながってくる。
堂場 普通は、死なないためにお金を使う。最高の医療を求めたりとか。でも、どうしようもなくなったときに……。
あんまり言うと、ここから先はネタバレかな(笑)。
――そのプライドが、ポイントなんですね。
堂場 そのプライドが彼に何をさせたか、というところですよね。
『死と金』というタイトルがちょっとネタバレっぽいところもあるんですが、彼が何をしたかというのを、最後で見ていただきたいです。