「刑事・鳴沢了」「ラストライン」シリーズなどのベストセラー警察小説や、熱いスポーツ小説で知られる堂場瞬一さん。2001年のデビュー以来、15年で著書100冊を刊行、破竹の勢いで書き続け、2025年、なんと著作200冊に到達した。
「数字の目標やノルマがあるわけではなく、気づいたらこの冊数になっていた感じです。今年はキリよく年内に200冊に到達するため、ちょっと必死になりましたが……。来年はデビュー25周年にもなるので、ペースを落とそうかな」
スピード感もさることながら、これだけ書くテーマが多岐にわたるのにも驚く。
「ネタは主に新聞から。毎朝読む新聞のニュースで、事件の動きや流行り廃りをチェックしています。オールドメディアと言われようが、事件・事故を知るにはやっぱり新聞の報道が最適。そこからリアルにありそうなネタを作り出すのですが、実在の事件がモデルとわかってしまうようなネタは使いません。最近は『小説でもあり得ない』とんでもない事件が多くて、追い越されつつありますが」
200冊を記念し、今年は全国の書店を回るツアー「the 200」を敢行。「作家は旅をしないとだめになるんじゃないか」という思いもあり、すでに全国7カ所を回った。
「ツアーはまだ終わっていませんが、やはり体力の衰えは感じました。年齢もあるし、コロナ禍で体がなまってしまったかなと。でも時には東京を離れて、あちこちを旅するのは大事ですね。講演会や書店への挨拶をしながら取材もして、まだまだ色々なところに行ってみたいという思いが強くなりました。特に“九州体験”が弱いなと感じたので、次の目標は九州全県制覇です。九州の食べ物は、意外に馴染みがないのでチャレンジしたい。結局食べ物の話ですが(笑)」
ツアーのほか、さらなる話題にも恵まれた。唐沢寿明さん主演のドラマ「コーチ」(テレビ東京系)が放送中だ。
「伸び悩む若手刑事のもとに派遣される“コーチ”役の刑事を描く、ちょっと変わったスタイルの警察小説なので、よくぞこの作品をドラマに、と驚きました。ただ実際に放送を見てみると、刑事ドラマでありながらテレ東らしい『ビジネスマン向け』の話にもなっているので、ドラマ化の意味はあったなと……。初めてカメオ出演しましたが、出番は2秒でした」
さらに12月には、「the 200」フィナーレとなる講演会が開催決定。
「ドラマプロデューサーの黒沢淳氏をはじめ、普段色々と関わりの深い方たちに登壇していただいて、通常の取材では出ないような深い話ができれば。できるだけ突っ込んだ内容でお話ししたいと思いますので、どんな話が出ても驚かないように心の準備をお願いします(笑)。そして、いつも読んでいただいている方の他にも、『これから読みたい』という方向けに入門編の話もしますので、ぜひご参加を!」
どうばしゅんいち/1963年生まれ。茨城県出身。2000年『8年』で第13回小説すばる新人賞を受賞し、翌年デビュー。主な著書に「刑事・鳴沢了」「ラストライン」シリーズなどがある。




