経済学者・成田悠輔氏がゲストと「聞かれちゃいけない話」をする対談連載。第16回目のゲストは、小説家の筒井康隆さんです。(構成・伊藤秀倫)

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大江健三郎の“絶交癖”

 成田 (筒井さんは2024年に転倒し、頸椎を傷めたのをきっかけに、夫婦で住宅型老人ホームに入居した)いきなりですが、晩年の幸福の秘訣はなんでしょうか。今日のようにご夫婦一緒にいらっしゃることでしょうか。

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 筒井 今は喧嘩ばかりしてますけどね。でもリハビリ病院にいる時は妻が恋しかった。その時につくづく、夫婦は一緒に居なきゃいけないなと思ったから。

成田悠輔氏(左)と筒井康隆氏 ©文藝春秋

 成田 ご体調は戻られましたか。

 筒井 おかげさまで。転倒直後は全身麻痺に近く、自分の力で立つのも大変でしたが、リハビリを頑張って今は2、3歩自分で歩けるようになりました。ただあそこは、「もう一生寝たきりでいいから、リハビリは勘弁してくれ」といいたくなるほど過酷でしたがね。

 成田 座ってお話しできるまで戻られてよかったです。ちなみにこれまで最も印象深い対談というと?

 筒井 それは蓮實重彥さんと大江健三郎について話をした対談(「同時代の大江健三郎」『笑犬楼vs.偽伯爵』所収)かな。ただあの時は、もう僕は大江さんと親しくなくなっていた頃。あの人は親しかった人を突然切るからね。

©文藝春秋

 成田 絶縁ですか(笑)。何かきっかけがあったんでしょうか?

 筒井 ありません。突然パタッと連絡が途絶えて、「あれっ、おれにも来たかな」と。でもそれからすぐ亡くなったから、原因はわからない。相手を突然嫌いになるわけじゃないんだな。自分の中で何か腹を立てるのかな。

 成田 大江さんの絶交癖は小説を書くうえで必要だったんですかね。