Q 国際刑事裁判所(ICC)とはどんな組織?

 8月18日、米国政府が、国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長らを制裁対象に指定しましたが、そもそもICCとは普段どのような活動をしている組織で、どのような人たちが所属しているのですか?(60代・女性・主婦)

Q ICC所長への「制裁」、一体なぜ? 何をされる?

 なぜ、トランプ大統領はICCを敵視しているのでしょうか。また「制裁」対象になるとどんなことが起きるのでしょうか?(10代・男性・学生)

制裁対象となった赤根智子所長 ©文藝春秋

A 国際条約によって設立された、個人の犯罪を裁く機関です

 2つの質問を合わせてお答えします。「国際刑事裁判所」(ICC)は個人の国際犯罪を裁く常設の裁判所です。2002年7月に設置され、本部はオランダのハーグにあります。

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 この裁判所は「国際司法裁判所」(ICJ)と混同されやすいのですが、国際司法裁判所は国連の常設司法機関。国家間の紛争の解決を目指しています。つまり国家と国家の紛争解決を目指すのが国際司法裁判所(ICJ)で、個人の犯罪を裁くのが国際刑事裁判所(ICC)です。

 国際司法裁判所が国連の機関であるのに対し、国際刑事裁判所は国際条約によって設立されたもの。国連機関ではないのです。性格も目的も異なるのです。

オランダ・ハーグの国際刑事裁判所(ICC) ©時事通信社

 この裁判所の特徴は常設であること。過去には旧ユーゴスラビア内戦での戦争犯罪などに関して、特設の裁判所が発足して裁判を行うなどの取り組みがありましたが、ひとつひとつの事件に関して特設裁判所を作るのは時間がかかります。そこで、裁判所として常に世界中の事件を監視して容疑者への逮捕状を発行し、逮捕して裁判を開き、有罪となれば刑務所に収監する仕組みです。

 もちろん個人の犯罪であれば、その国の政府が取り組むべきことではありますが、世界には、それをするだけの能力のない国や、敢えて事件にしない国も存在します。その場合、その国の政府に代わって裁判しようというものです。

アメリカの圧力を受けて脱退する国も

 加盟国から、検察官や裁判官として経験を積んできた法律の専門家が送られ、裁判官の互選で赤根智子さんが所長に選ばれました。

 世界125の国と地域が加盟していましたが、アメリカの圧力を受けて脱退する国が出始めました。もともとアメリカ、ロシア、中国などは加盟していません。自国の人間、とりわけ兵士が裁かれるのを恐れているからです。

 でも、国際条約で設立された組織を、自分の意に沿わないといって解体しようとするのは乱暴な話です。