ハリウッドは空前の「中年女優ブーム」。しかし、映画『サブスタンス』が警鐘を鳴らしていたはずのルッキズムはますます加速し、老いも若きも逃れられなくなっている。背景には、美容医療技術の向上や、GLP-1薬の普及などの技術革新が。渦中にいながら声を上げ、再評価されている中年女優たちとは?

ニコール・キッドマン ©Aflo

『週刊文春WOMAN 2026秋号』より、記事一部を抜粋・編集し掲載します。

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ハリウッドで中年女性スターの人気がリバイバル

 ハリウッドといえば「女は若さ」主義で知られてきた。

 スターの領域でも、40歳をこえると男女の差が歴然となる。男優がまだまだ働き盛りな一方、女優はオファーされる役が主人公の母親や祖母、悪役ばかりになっていく。稀代の名優の地位を築いたメリル・ストリープすら、50代のころ『プラダを着た悪魔』(2006)で当たり役に出会うまで引退を考えていたほどだった。同じ2000年代には、アラサーのアンジェリーナ・ジョリーが一歳年下の男優の母親役を演じることすらあった。

 それが、この10年で変わってきている。中年女性スターの復活がブームになっているのだ。

 先駆けとなったのが、リース・ウィザースプーンが同年代の中年女優を集めて制作し、エミー賞8部門に輝いたTVドラマ『ビッグ・リトル・ライズ』(2017~)。同作で主演女優賞に輝いたニコール・キッドマンも「18ヶ月に一度女性監督と仕事をする」ルールを定め、8年間で19回、出演やプロデュースを果たした。

 50代のキッドマンがインターンと禁断の関係に陥る『ベイビーガール』(2024)によって約100億円の興行収入を達成したように、中年女性と年下男子の恋愛ものもブームになっている。「ロマコメの女王」ジェニファー・ロペス作品の場合、相手役が10歳年下でも劇中で年齢差がとくに問題にされない。

 中年女性スター復活の一因は、技術革新。Netflixなどの配信サービスによって映像作品バブルが起こっただけではなく、視聴にかんする細かなデータを取得できるようになったことで、これまで軽視されていた大人の女性向けのコンテンツの価値が認められたのだ。この流れは映画・TV以上に「若さ」至上主義のファッション界にまで波及し、50代、60代になった90年代の人気スーパーモデルが再び脚光を集め、リバイバルブームを起こした。