世界の半導体関連企業が急成長を続けている。この1年だけで株価が最大7倍にまで急騰したイビデンもそうした企業の一つだ。

 半導体パッケージ基盤の製造で世界トップシェアを誇るイビデンは、エヌビディアやインテルなど世界の“半導体ガリバー”から「我が社にもっと製品を」とラブコールを受けている。エヌビディアCEOのジェンスン・ファン氏は、今年7月の訪日時、イビデン社長の河島浩二氏と差し向かいで直談判したほどだ。イビデンは、いかにして飛躍のチャンスを掴んだのか。河島氏に聞いた(聞き手 杉本りうこ)。

身の丈以上の投資ができる理由

 ――イビデンは今、エヌビディアとインテルのためにそれぞれ工場に投資をしていて、その金額は総額5000億円にもなります。投資の相当部分は2社から「前払金」としてもらっているそうですが、お客さんからお金をもらって投資するのは以前からのことですか。

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 ここ2~3年です。顧客の要求に応えようとすると投資額がべらぼうに高くなってきたので、「これぐらい生産してほしい」という要求に対して「それにはこれぐらい投資しなきゃいけません。だからこれぐらい払ってくださいね」と交渉し始めました。

イビデン社長の河島浩二氏 ©堀勝志古

 私たちの売上高って4000億円ちょっと(2026年3月期は4162億円)ですから、5000億円の投資は普通だと考えられないですよね。しかも半導体業界は浮き沈みがすごくあって、今日100のオーダーがあっても明日ゼロになる可能性がある。現実に、過去には大きな投資をして工場を建てたのに何年も使われない状況が続くような、苦い経験もありました。それでもお客さんの要望に応えて投資するにはどうしたらいいか、私たちなりに考えた結果が前払金をいただくことでした。

エヌビディアCEOのジェンスン・ファン氏は、訪日時にイビデン社長と直談判 ©AFP=時事

 ――普通の企業は「先にお金を払って」なんて、なかなか言い出せません。下請け根性というか、卑屈になってしまいそうです。

 こっちが弱い立場だったら、「何言ってんの?」って言われたでしょうね。私たちが技術的な強みを持っていないと言い出せないことだったとは思います。実際、難しい交渉ではありましたが、聞き入れてもらえました。