SNSでバズる「ショート動画」を量産
では何故、LOWYAが若年層に注目されるようになったのか。実用性よりもデザイン性を訴求する「見せ方」が若年層に受けたためだ。ECの商品一覧サイトを比較すると、ニトリは写真部分が小さく、価格や「配送料無料」などの特典をアピールしている。写真に機能説明の文が書かれていることもある。対するLOWYAは写真がメインで、説明文や価格の表記は小さい。写真上に文字が表記されている事は少なく、全体的にアパレルECのような構造だ。単純に「どっちのECサイトがお洒落か?」と問われれば、LOWYAに軍配が上がる。
また、LOWYAは投稿のバズりに成功している。Instagram、TikTok、Xなどを合わせた公式アカウントのフォロワー総数は280万を超え、再生回数100万回超えのショート動画を次々に量産する。動画では単に商品を宣伝するのではなく、生活の動線上で役に立ちそうな家具を紹介している。例えば、ソファ用のテーブルは高さが低いため、ソファに座りながら食事をする事は難しい。動画では、この課題に触れつつ、高さ調節できるソファ用テーブルを紹介している。
ショート動画を活用した運用により、LOWYAの認知度は向上した。Instagramのフォロワー数は21年3月期末の67万から、現在では178万に増えた。経産省によると家具・インテリアのEC化率は3割を超え、他のジャンルと比べて高い傾向にある。物販全体では約10%だ。若年層はSNSの情報を参考にECで購入するため、LOWYAの戦略が彼らの志向にマッチしたと考えられる。
「SNSで話題の商品」を体験できる、巧みな出店戦略
「お洒落で低価格帯の家具」という位置づけでは、2006年に日本で1号店を構えたIKEAがLOWYAよりも先に定着した。しかし冒頭の通り、年間売上高は900億円台で低迷している。大型店の出店は10店舗に留まり、北海道への出店も頓挫した。休日は客で賑わうもののテーマパーク化しており、何も買わない客も多い。また、郊外に出店しているため、都心部の若年層にリーチできていないという課題があった。
IKEAは都心部の消費者との接点を増やすべく、20年6月に初の都心型店舗を原宿でオープンした。その後、渋谷・新宿にも出店していく。しかし今年2月に原宿店と新宿店を閉店した。都心型店舗の面積は2500~4000平米で、2万平米以上の大型店よりもかなり小さい。迷路のような構造や品揃えといった大型店の強みが無く、中途半端な存在となってしまった。高い賃料に見合う収入が無かったと考えられる。大型の都市型店舗を展開可能なのはニトリのように普段買い需要の大きいチェーンに限られる。
