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「月に行く男」ZOZOTOWN前澤友作の知られざる平凡な半生ーー文藝春秋特選記事

2018/10/09
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 前澤は地元への“千葉愛”を公言して憚らない。アパレル業界なのに青山や六本木ではなく、本社を千葉市美浜区の幕張に置き、近所に住む社員には「幕張手当」なる月額5万円の住宅手当を支給している。それも地元愛の意思表示だといわんばかりだ。周知のように一昨年11月には、ロッテの千葉マリンスタジアムの命名権を10年総額31億円の契約で買い取り、「ZOZOマリンスタジアム」と変えた。さらに千葉市稲毛区には総工費100億円と推定される新居の「ZOZO御殿」を建設中だ。美術館かと見間違うような豪華な新居は4年かけて建設しているという。建物はほぼ完成し、玄関先には大きな樹木も植えられていた。実家のある鎌ケ谷と同じく、ここも周囲は新興の住宅街だ。そこに突如として出現したZOZO御殿、どうも街並みに溶け込んでいない。

 鎌ケ谷の実家からスタートし、ZOZO御殿ZOZOマリンスタジアムなどを車でまわってみた。すると移動はそれぞれ20分程度で、全部合わせても1時間ほどしかかからない。アパレルのネット通販で財を成した億万長者は、生誕地の千葉でZOZO帝国を築くのが夢だったのだろうか。

ZOZOマリンスタジアム ©時事通信社

 その前澤本人にも会い、インタビューを月刊『文藝春秋』10月号に掲載した。身長162センチと小柄な前澤は、自ら雑誌などで語ってきた少年時代の武勇伝とは裏腹に、あまり目立たない存在だったのではないか。そんな気もした。音楽仲間によれば、早実を卒業したあと、4人で結成したバンドでは、とりわけハンサムな2歳違いの弟や同級生のボーカルが人気だったという。後ろでドラムをたたいていた本人の印象はむしろ薄かったらしい。

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文藝春秋 10月号

「願いは世界平和」と恥ずかしげもなく言い切る新進気鋭の起業家は、軽そうに見えてその実、複雑な心のうちを秘めて生きてきたように思えてならない。

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