「鼻は陥没」「頭蓋骨が飛び出していた」──2008年、京都府舞鶴市の河原で見つかったのは、あまりにも凄惨な姿となった全裸の女子高生遺体だった。
捜査線上に浮上したのは、過去に内縁の妻とその兄を殺害した経歴を持つ“いわく付きの男”。警察は彼を逮捕するが、事件は思わぬ方向に進んでいく……。ノンフィクション作家の八木澤高明氏の文庫新刊『殺め家』(鉄人社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目)
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女子高生殺害事件
「あっ、あの事件ね。ツルッパゲの男が逮捕された事件でしょう。あん時は大騒ぎだったわね」
二〇一九年、逮捕された容疑者が暮らしていた物件から、ほど近い住宅街で話を聞いた女性は、まるで昨日のことのように事件のことを覚えていた。
その事件とは二〇〇八年に京都府の舞鶴で発生した女子高生殺害事件のことである。この事件で捜査線上にあがったのは、中勝美という男だった。
舞鶴市内にある防犯カメラの映像には、殺害された女子高生と連れたって、黒い服を着て自転車を押しながら歩く男の姿が映っていた。その映像が撮られた翌日の二〇〇八年五月八日午前八時四五分、女子高生は全裸の遺体で中が暮らしていたアパートの近くを流れる朝来川の河原で発見された。
凶器で殴られ、頭部から頭蓋骨が飛び出し、鼻は陥没していて、遺体の状況は凄惨な現場を見慣れている捜査官でも目を覆いたくなるようなものだったという。
事件の重要参考人として浮上した中勝美は、遺体発見現場から四百メートルほどの場所に暮らしていた。
彼が警察にマークされたのは理由があった。中勝美は二五歳の時に内縁の妻とその兄を殺害、その後も舞鶴市内で傷害・強姦未遂で現行犯逮捕されるなど、いわく付きの人物だったのだ。
当時事件を取材した全国紙の記者が言う。
