性行為の動画配信で食べる男の卑劣なDV

 牧被告は事実上、それで生計を立てている動画配信者だった。気に入らないことがあれば殴る蹴るの暴力を振るい、寝るとき以外は電話をつないだままにすることを強要し、自宅の壁には「何よりもご奉仕」「ご機嫌取るの優先」「あやまる時は叫ぶ」「朝から何回好きって言った?」などと書かれた紙が貼られていた。

A子さんが牧被告と付き合い始めた頃に住んでいたマンション(名古屋市)

 牧被告の機嫌を取るために〈今から次の撮影会が楽しみです〉とか、〈こういうシチュエーションはどうでしょう?〉というLINEを送らされたり、〈私が首を絞めて殺そうとしたことについて、賠償金を払います〉などと事実無根のことで責められ、示談書を書かされたりしていた。

 暴力や暴言はますますひどくなり、髪の毛をつかんで投げ飛ばされたり、包丁を突きつけられたり、「お前なんか生きている値打ちはない。保険金の受取人をオレに変更してから死ね」などと罵られていた。部屋では常に裸にされ、外に逃げられないようにしていた。

ADVERTISEMENT

「お前と出会わなければ、オレが稼げていた金は1000万円以上あった。お前がその金を返せ!」

一度は男からの逃走を試みるも…

 これほどひどい目に遭いながら、A子さんが助けを求めなかったのは「そんなことをしたら、どんなひどい目に遭わされるか分からない。毎日暴力を振るわれ、GPSで監視され、常にLINEしなきゃいけないし、警察に相談しようなんて思いつきもしなかった」というDV被害者特有の心理状態に陥っていたからだ。牧被告との関係は「一切口外しない」という誓約書も書かされていた。

 そんなA子さんでも牧被告のもとから逃げ出したことがあった。2024年6月、家の修繕のために修理業者を2カ所から呼ぶように言われていたのに、1カ所からしか呼ばなかったことが牧被告にバレて、電話で激怒された。

 A子さんは「顔を合わせたら殺される」と怯え、職場も放棄し、大阪府に逃げた。そこで人材派遣センターに熊本県の職場を紹介してもらい、住み込みで働くことになった。ところが、A子さんがいなくなってしょげ返ったのは牧被告の方だった。

「本当にごめん。オレが悪かった。これからは何でも好きなようにしていい。帰ってきてほしい」

 これにA子さんが応じる形になり、同年7月7日に牧被告と入籍した。それまで住んでいたアパートを引き払い、牧被告が住んでいたアパートで同居することになった。