ギャンブル狂の父

 父は祖父の持っている喫茶店を任されていました。いわゆる雇われオーナーです。

 でも、まともに商売はしていませんでした。父は小さなころから悪ガキで、中学時代の親友が暴力団の幹部になっていたらしく、喫茶店はガラの悪い人たちのたまり場になっていました。

 父は重度のギャンブル依存症でした。いつも悪い連中と連れ立って競輪場などに行っており、自分のお金が無くなると、祖父に無断でマンションを売ってお金を作っていました。そのお金で取り巻き連中を連れ、タクシーで関東中の競輪場を渡り歩いていたそうです。

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 ある日、祖父は自分で建てたマンションの草むしりをしていました。すると、通りかかった人から「ここはもう、佐藤さんのマンションじゃないんだから、草むしりなんて止めた方がいいですよ」と言われたそうです。

 そこで祖父は初めて、自分のマンションが売られていたことに気がつきました。父を激しく叱りましたが、後の祭りでした。そのときには、すでに大部分のマンションが父によって売られていたからです。

 残ったのは、当時、個人の住宅では珍しい、鉄筋コンクリートでできた三階建ての自宅だけでした。その一階が喫茶店だったのです。

 そしてこの自宅も、父のギャンブルのせいで手放すことになります。

 僕はまだ幼かったのではっきりした記憶はありませんが、自宅を離れてアパートに引っ越しをしました。

 一家の家計は、母がホステスをして支えていたと思います。父は昼間からお酒を浴びるほど飲んで、母の帰りが遅いと暴れて母に暴力を振るいました。幼い僕にとって、その光景を見るのは地獄の苦しみでした。