浸水が多発した地域でも「室内には1滴も水が入っていなかった」
頻発する水害に加えて手頃な価格帯もあってか、2026年8月末時点で申し込みは累計約1万1000件に達している。大手メーカーの年間住宅受注棟数が1万件を切っているなかで、順調に選ばれていると評価しているそうだ。
販売の開始から6年が過ぎ、実際に水害から逃れた事例も出てきている。
静岡に住む顧客は、新築した家に住み始めてから1カ月後の2022年9月、台風が直撃。大人の腰ほどの高さに及ぶ洪水が発生した。ただ、自宅で過ごしていたものの洪水に気づかず、翌朝に道路の被害を見て驚いたという。隣接する義実家は、耐水害住宅ではなかったことから床上浸水の被害に遭ってしまった。
また、ある顧客は新築住宅に住み始めて2カ月後、大雨に見舞われた。大規模な浸水でレベル5の警報が出たため、自宅の窓からゴムボートを使って避難し、住んでいる自治体では床上浸水が数千棟、床下浸水も同じく1000棟規模の甚大な被害が出ていた。しかし水が引いてから自宅に戻ったところ、室内には1滴も水が入っていなかったそうだ。
一条工務店が開発した耐水害住宅は、他のハウスメーカーにも広がっている。ヤマト住建でも、2026年6月に最大1メートルの水位に対応する「耐水害住宅仕様」を発売。一条工務店と同様の手法を取り入れている。
ユニークな技術を独占せずにいる理由について、黒田氏は「他社からも耐水害住宅が提供されることで全ての建物が水害から守られる国にしたい」と語る。この夏にはショッキングな映像が散見されたが、数年後には多くの建物がプカプカと浮かぶ不思議な風景が当たり前になるのかもしれない。
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