「世間からすれば、僕なんて最初は“ボンクラ”にしか見られないですからね。だからこそ、そう見られないために努力する。批判も引き受けたうえで挑戦するほうが、自分の糧になります」
高校、大学とラグビーに打ち込んだ西社長の根底には、人一倍の負けん気がある。
「勝ち続けるためには、努力し続けなければならない。スポーツを通じて負ける悔しさを知っているからこそ、商いでは負けたくないんです」
現状維持は衰退の始まり──。西社長はそう社員に伝え、自ら率先して改善策を提案し続けた。塗装の塗り直し、園内の植栽の手入れ、手作りイベントの開催──。空港に向かう車中で思いつき、その場で現場マネージャーへ「今年の夜間営業はナイトプールをやろう」と電話をかけたこともある。
「外部業者に任せるだけじゃ愛は伝わらないと思うんです」
一つひとつの施策が売り上げや来園者数の増加につながると、社員たちの反応も変わり始めた。夏祭りや浴衣・甚平での入園無料企画、手作りの園内ゲームなど、現場からも自発的に案が上がるようになった。今やSNSの発信や園内企画をはじめ、看板の製作、柵の塗装、イルミネーションの装飾に至るまで、そのほとんどを社員自身で手掛けている。
「外部業者に任せるだけじゃ愛は伝わらないと思うんです。自分たちで園内を作り、自分たちの言葉でSNSを発信するからこそ、伝わるものがあるんじゃないかって」。そう現場の社員は話す。資金も人手も限られたなかで重ねられた手作りの工夫が、昭和レトロな温もりを形づくり、訪れる人との距離をぐっと縮める独特の親しみやすさになっている。
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手作りのイベントや現場のアイデアで結束を強め、ようやく再建の兆しが見え始めたラクテンチ。しかし、社員たちの顔に明るさが戻りかけた矢先の2020年、世界中を襲った新型コロナウイルスの猛威という、さらなる未曾有の試練が立ちはだかる――。
撮影=今田 壮(風来堂)

