数学教師から金融界に進出し、巨万の富を手にしたジェフリー・エプスタインが、各地で少女や若い女性をレイプし続けた史上最悪の性犯罪「エプスタイン事件」。今もアメリカ社会を大きく揺るがしているこの事件は、彼の世界中のネットワークを駆使しながら行われ、長くその実態が明るみに出ることはなかった。

 この悪行を暴く大きなきっかけとなったのが、被害者女性であるヴァージニア・ジュフレイの告発だった。そんな彼女の姿に呼応するように、自らも同じ被害者、「サバイバー」だと訴えて立ち向かった元少女たちがいた。彼女たちの被害の実態について、堂本かおる『エプスタイン事件 世紀の暗黒スキャンダルの全貌』より、一部を抜粋して紹介する。

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大きな衝撃をもたらした被害女性、ジュフレイの告発回顧録「Noboy's Girl」

 2026年現在、サバイバーの多くは30代後半から40代前半。ジュフレイ以外のサバイバーもそれぞれが、エプスタインによる性加害からの20年以上を数多の苦難を受けながら過ごしてきた。

 そのうちの一人、ジェナ=リサ・ジョーンズは社会派のインタビュー・ウェブサイトSoft White Underbelly(2026年3月7日更新)で自身の半生を語っている。

「キモいおっさんにマッサージするだけで200ドルもらえる」

 ジェナ=リサはフロリダ州ウエスト・パームビーチで生まれ育った。エプスタインの邸宅があるパームビーチは高級住宅地だが、そこから短い橋で州本土に渡ったところにあるウエスト・パームビーチは中・低所得地区だ。

 彼女は父親の記憶がほとんどなく、幼い時期に母親の恋人から母親への激しいDVを目撃した。その恋人の下から命からがら逃げ出した後も、母親は多くの男たちの間を渡り歩き、酒を飲んで疲弊した結果、現在も心身の治療薬が手放せない状態だという。

 こうした生育環境ゆえに、ジェナ=リサはまっとうな母親像も父親像も知らずに思春期を迎えた。

 14歳の時、友だちとのおしゃべりの中で「キモいおっさんにマッサージするだけで200ドルもらえる」という話が出た。学校での昼食代にも事欠いていたジェナ=リサにとって200ドルは大金だった。マッサージはエプスタインが少女をおびき寄せるために使う言葉だった。

 初回の暴行で恐れをなしたジェナ=リサだったが、友だちが「ジェフリーがあなたに戻ってこいと言っている」としつこく迫った。誰かを連れて行くだけで100ドルをもらえるからだ。

 それでも彼女が断ると、友だちは「じゃあ、代わりに誰か連れてきてよ」と言った。こうして、ジェナ=リサは自分と同い年の14歳の友だち、ウェンディ・ペサンテを「マッサージするだけだから」と連れて行き、100ドルを手に入れた。