数学教師から金融界に進出し、巨万の富を手にしたジェフリー・エプスタインが、各地で少女や若い女性をレイプし続けた史上最悪の性犯罪「エプスタイン事件」。今もアメリカ社会を大きく揺るがしているこの事件は、彼の世界中のネットワークを駆使しながら行われ、長くその実態が明るみに出ることはなかった。

 この悪行を暴く大きなきっかけとなったのが、被害者女性であるヴァージニア・ジュフレイの告発だった。そんな彼女の姿に呼応するように、自らも同じ被害者、「サバイバー」だと訴えて立ち向かった元少女たちがいた。彼女たちの被害の実態について、在米ライター・堂本かおる氏​による『エプスタイン事件 世紀の暗黒スキャンダルの全貌』より、一部を抜粋して紹介する。

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大きな衝撃をもたらした被害女性、ジュフレイの告発回顧録「Noboy_s Girl」

「君を助けることもできるし、君の母親を……」

 エプスタインがリクルートしたのは貧しい中高生の少女だけではなかった。

 ニューヨークにはモデル、アーティスト、ダンサー、俳優、ミュージシャン志望の若い女性がいくらでもおり、エプスタインは大学やエンターテインメント業界へのコネクションを使って女性たちを惹きつけた。

 たとえば、2004年、当時17歳にしてすでにバレリーナとしての道を歩んでいたダニエル・ベンスキーは、ある若い女性を通じてエプスタインと知り合った。実家を出て独り立ちしたばかりのダニエルが収入を必要としていることを、その女性は小耳に挟んだのだった。

 エプスタインはバレエやクラシック音楽について多少の知識とコネクションがあり、ダニエルにダンス界の有力者を紹介すると約束した。

 そうこうしているうちにダニエルの母親が脳腫瘍と診断され、ダニエルは藁にもすがる思いで母親のCTスキャン画像をエプスタインに見せた。