するとエプスタインは、ニューヨーク市内の大病院のトップクラスの脳外科医を知っていると言い、「君を助けることもできるし、君の母親を本当に苦しい状況に追い込むこともできる」と脅迫を口にしたという。
また、画家のマリア・ファーマーは他のサバイバーたちと異なり、1990年代半ばという早い時期にエプスタインと出会っている。マリアはその時、すでに25歳だった。
「エプスタインを最初に摘発しようとした姉妹」
マリアと妹のアニーがエプスタインの性加害を受けた経緯は、エプスタインの死の直後の2019年8月26日にニューヨークタイムズが「ジェフリー・エプスタインを最初に摘発しようとした姉妹(The Sisters Who First Tried to Take Down Jeffrey Epstein)」と題した記事で報じている。
ニューヨークにある芸術大学院、ニューヨーク・アカデミー・オブ・アートの学生だったマリアは、同学院の当時の学部長アイリーン・グッゲンハイムから、卒業制作展の作品のひとつをエプスタインとマクスウェルに割引価格で売るよう指示された。
やがてマリアは絵画制作に専念しようとニューヨークを離れるが、エプスタインが懇意にしていた女性下着ブランドのトップ、レスリー(レス)・ウェクスナーが所有するオハイオ州の邸宅に落ちついた。
ある日、エプスタインとマクスウェルがマリアを訪ね、マリアは2人から襲われそうになる。翌日、他州に住む父親が車で駆けつけ、マリアはオハイオ州を後にした。
その直後、マリアは当時16歳だった妹のアニーもエプスタインに性加害を受けていたと知らされる。自身への性加害が起こる前、2人を信用していたマリアは妹を紹介していたのだった。
彼女たちの訴えに、学部長は……
アニーはエプスタインがニューメキシコ州に所有するゾロ牧場で被害にあっていた。マリアは2人の件を警察に通報したものの捜査には至らず、グッゲンハイムはマリアに作品の割引販売を指示したことを否定した。
エプスタインは一時期、ニューヨーク・アカデミー・オブ・アートの理事会メンバーであり、学部長のグッゲンハイムにとって重要な人物であった。
