会見で7人の中央に立ったのは、グループのリーダー的な立ち位置で猪俣さんが加入するきっかけになったオーディションの発案者でもある菊池さんだった。
まずファンや関係者に謝罪するとともに、被害にあった女性を気遣う言葉を述べた。一呼吸置くと前を見据えて息を吸い、「この度は申し訳ございませんでした」と、メンバーとともに深く頭を下げた。一呼吸の間が、会見に臨んだ彼らの覚悟を表しているようだった。
猪俣さんに対する発言は厳しいものだった。「アイドルである以前に人として、許されるものではない」と断罪し、「手が当たってしまったかもしれないという旨の供述にも腹がたちました」と怒りを露わにする。
その瞬間、眉間に力が入り、口元はしっかりと結ばれていた。
女性に暴力を振るうことが許されないというだけでなく、「多くの女性ファンに支えて頂いているグループ。その立場にいる人間として、今回のようなことは到底受け入れることはできません」と目の色は暗く沈み、硬い表情のまま眉を上げた。
その仕草から、猪俣さんの裏切りが本人にとってとてつもないストレスだったことがわかる。表面的には冷静で落ち着いた対応なだけに、かえって猪俣さんへの怒りが際立っていた。
猪俣の名前を呼ばなかった、最も拒絶感が強かったメンバー
メンバーの中で最も猪俣さんへの拒絶感が強かったのは、佐藤さんだった。
「今日、言葉でお伝えするだけで不安がなくなるとも、信頼を取り戻せるとも思っておりません」
眉間に深くシワを寄せた表情は苦し気で辛そうだった。「言葉でお伝えするだけでは」というと、首を横に振る。今回の事件で彼らがダメージを負い、信頼回復が容易ではないことを痛感しているようだ。
怒りや憤りをなんとか抑えよう、やわらげようとしたのだろう、肩で息をするように体を動かし、音を立てて息を吐く。そして佐藤さんは、発言のなかで猪俣さんの名前を一度も口にしなかった。存在そのものを否定したい、という気持ちがあったのかもしれない。

