ところが、同じ旧安倍派の有力者である萩生田光一幹事長代行が、簗氏の発言について、そうした意識で職務にあたっていたなら「それはおごりであって、決して許されるものではない」と苦言を呈した。権力の使い方を間違えてはいけない、というのである。ちなみに萩生田氏の不記載額は2728万円である。
高市首相は「私の大事なやなちゃん」と紹介
ここで10月9日の読売新聞の記事が面白い。高市首相は今年2月の衆院選で簗氏を応援した際、「私の大事なやなちゃん」と紹介していたという。首相にとっては大切な存在だったようだ。
こうなると、簗氏にもう少し農水相を続けていただきたい気持ちにもなってくる。週刊誌が掘り起こし、新聞が検証する。その結果、予算配分の仕組みや自民党の政治体質、役所の対応、そして高市首相が自ら選んだ人事の中身まで、次々と見えてくるのだから。
冒頭で「高市首相の気持ちは痛いほどわかる」と書いたが、最後に新しい発見を一つ。
首相は「選挙に強い人」を閣僚に選んだと言ったので、「それならなぜ簗氏?」とツッコミを受けている。
しかし、該当の記者会見について、首相官邸の書き起こしを読むと、高市首相は人事方針をこう説明していた。
「大変厳しかった一昨年の衆議院選挙でも、しっかり議席を獲得するなど、選挙に強く、毎週のように選挙区に戻るのではなく、『腰を据えて政策を着実に検討・実行していただける』と思える方を閣僚として選びました」
アッと思った。注意して読んでほしい。首相は「一昨年の衆議院選挙」と言っている。
2024年の衆院選で、簗氏は小選挙区で当選している。ところが、自民党に追い風が吹いた今年2月の衆院選では小選挙区で敗れ、比例復活だった。
ひょっとして首相は、この人事方針を語ったときから、やなちゃんのことを念頭に置いていたのだろうか。
ああ、やなちゃん。
しかも「毎週のように選挙区に戻るのではなく、腰を据えて政策を着実に検討・実行」という部分も、地元での予算配分をめぐる発言が次々と発掘されている今、なかなか味わい深い。首相の説明を読み返すほど、なぜ簗氏だったのか、ますます気になってくる。
やなちゃん、辞めないで!
