「もういい、俺の視界に入るなッ!」
白石和彌監督は20歳だった1995年、若松プロの現場に助監督として入るなり大失敗して、若松孝二監督からカミナリを落とされた。
「よく怒るし理不尽だし、もう腹の立つことばかりで。でもそこにいると何か楽しい。若松さんは何でも言葉にしちゃうけど全然自覚がなくて、少したつと“メシ行くか?”とよく声をかけてくれました」
若松プロの青春群像劇『止められるか、俺たちを』は、初期の若松プロで活動した先輩たちの、無類に面白い経験談から動き出した企画だ。
「基本的に誰でもウェルカムの若松プロに、面白い事がしたい若者が集まってきた。門脇麦さん演じる主人公が迷い込んだ1969年は、若松プロが強烈なエネルギーを放っていた時期でした」
実在の主人公・吉積めぐみさんは、後にピンク映画女監督第1号として新聞の取材に応えている。《若松個人にヤイバをつきつけなければ……》そう語るほど、彼女も若松プロの熱源の一人だったのだ。
「一貫していたのは“ぶっ壊してやる”という思い。映画のことばかり考えていた若松さんの“声”を、もう一度聞きたくて撮った作品です」
INFORMATION
映画『止められるか、俺たちを』
10月13日(土)よりテアトル新宿ほか、全国順次公開
http://www.tomeore.com/index.html