「お前が死ねばよかったのに」
2013年、桜塚やっくんが事故でこの世を去った後、事故車に同乗していたやっくんのバンド「美女♂menZ」メンバーの伊織殿(いおりどの・40)には心ない誹謗中傷が届いた。
それでも、やっくんが生前語った「武道館ライブ」の夢を追ってステージに立ち続けた彼を待っていたのは、二度の大病だった。甲状腺がんで声を失い、さらには「おへそから膿と内臓のようなものが飛び出る」という希少疾患に襲われた壮絶な闘病経験を振り返ってもらった。
「死ぬかもしれない」甲状腺がんで声を失った絶望
異変は2019年1月に起きた。風邪の後も喉につかえる感覚が残り、首にこぶができていた。大学病院での検査の結果、告げられたのは「甲状腺がん」だった。
「どこまで広がっているんやろう、自分は死ぬんかなと声を上げて泣きました」
舞台稽古の最中だったが周囲には病状を隠した。しかし、闘病について綴るSNSを見ていた共演者たちから千秋楽の打ち上げで内緒で作られた千羽鶴を渡された時は、思わず涙がこぼれたという。
リスクを知りながら、生きるために手術を選んだものの、術後はやはり声が出なくなった。常に「喉を拳で押さえられている感覚」で、話すだけでえずき、鼻歌すら歌えなくなった。ストレスで自分の喉を殴ったこともあった。
生活苦から清掃のバイトをしていたが、掃除するだけでも嘔吐してしまい、ステージ復帰後も歌えず口パクでお客さんに助けてもらうなど、過酷な日々が続いた。
「立っていられない」おへそから膿、4cmの棒を自ら引き抜く恐怖
声を取り戻した2024年頃、さらなる苦難が伊織殿を襲う。撮影で訪れた金沢で、突然おへそに激痛が走り、立っていられなくなったのだ。診断は「尿膜管遺残(にょうまくかんいざん)」という希少疾患。半年ほど前から頻尿の兆候はあったが、悪化しておへそから膿が出続け、内臓のようなものが飛び出す状態がひと月以上も続いた。
「横になるより座る方が楽で、一日中椅子の生活でした。普段10分の距離を1時間かけて歩く状態でした」
恐怖を極めたのは手術までの処置だ。休日は病院が開いていないため、傷口のケアを自分で行わなければならず、おへそに入った「4cmほどの布を巻いた棒」を自ら引き抜き、消毒するよう指示された。「気を失いそうなくらい怖かった」と振り返る。術後は痛みで暴れ、ベッドに拘束されるほどだったが、2カ月かけて乗り越えた。
やっと音楽活動に復帰できる――。そう思ったのも束の間、世間はコロナ禍で自粛モードに。ライブもままならなくなり、いよいよ食べていくお金に困ってしまった。そんな時に伊織殿を救ったのは、かつて桜塚やっくんから授けられた“女装”のテクニックだった。
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二度の大病を乗り越えた伊織殿は、いかにして再起を遂げたのか。やっくんから受け継いだ「女装」を武器に、SNSで話題沸騰の現在の姿はインタビュー本編で詳しく明かされている。


