「文藝春秋」11月号の大特集「昭和百年 美しき日本人50」。その中から、「言葉を形にすること」に人生を捧げた人々に迫る記事を厳選して紹介します。[全5記事]
谷川俊太郎 もっとも大切にした「正」
尾崎真理子(文芸評論家)
「自己紹介」という短い詩を、晩年の谷川さんは詩の催しなどでよく朗読した。最後の一行は「私の書く言葉には値段がつくことがあります」。そこで会場には笑いが広がるのだが、詩人は別に嬉しくも恥かしくもないというすまし顔で通す。そんな時…

茨木のり子 寂寥を抱えた凜たる姿勢
後藤正治(ノンフィクション作家)
茨木のり子の「わたしが一番きれいだったとき」は、終戦間もない頃の自身を追想して書かれたものである。この詩が広く知られるようになったのは、国語の教科書に載ったこともあるが、私的な想いを込めた詩が、同時代を生きた女性たちの共通の想いを…

石牟礼道子 光る星のような存在
いとうせいこう(作家)
石牟礼さんに一度だけ、インタビューのために、熊本の病院でお会いしたときのことが忘れられません。熊本に暮らす作家の坂口恭平君とラジオのディレクターと3人で、彼女の病室に伺いました。ベッドから坂口君に抱えられて車椅子に座った石牟礼さんの…

堀田善衞 「書生」が見たグラナダ生活
佐伯泰英(作家)
堀田善衞先生は『ゴヤ』全4巻を刊行直後の1977年7月にスペインに渡り、1年強、おもにグラナダに暮らしました。その時期の日記は著書『スペイン430日』にまとめられていますが、8月14日の項に〈英文学者のN氏とカメラのS君、車で来訪〉という記述が…

内館牧子 可愛くてたまらない人
三田佳子(女優)
以前より内館さんの作品に出たいと思っていたものの、なかなかご縁がありませんでした。そんな折、息子が「面白い本があるよ」と内館さんの小説『すぐ死ぬんだから』を勧めてくれたんです。78歳の女性が感情豊かに逞しく生きる様子が描かれていて…

