ドラマ『VIVANT』のシーズン2が話題だ。堺雅人演じる主人公は、実は自衛隊の秘密組織「別班」の一員。世界を舞台に派手な諜報活動を繰り広げる。
「別班」の存在をスクープした人物が違和感を表明
ところが、このドラマに違和感を表明している人がいる。共同通信の元記者、石井暁氏だ。2013年に自衛隊の秘密情報部隊「別班」の存在をスクープした人物である。
石井氏はシーズン2について、国粋主義的、国家主義的な要素が前面に出ているのではないかと指摘している(10月10日・JBpress)。第1シーズンでは架空の「バルカ共和国」が敵国だったのに、第2シーズンでは実在する「中国」が敵国として描かれ、「国を守る」といったセリフも増えてきたと述べる。
エンタメの世界ではあるが、現実の社会情勢や空気がどう反映され、利用されているのか。そこまで含めるのも「考察」かもしれない。
さて、ドラマでは「大活躍」の自衛隊の情報組織。では、現実の自衛隊はどうなのか。
そこで思い出すのが、7月22日の熊本日日新聞のスクープである。
見出しは「陸自情報部隊が『愛国心』など調査か」。
こちらは「別班」ではなく、陸上自衛隊の「現地情報隊」という部隊の話だ。2007年に発足し、自衛隊の海外派遣に必要な現地情報を集めることを目的としている。ところが、国内の研究者や民間人について、思想信条や愛国心、さらには性的嗜好や異性関係まで記録する仕組みがあったという。その記録は「BSD(ベーシック・ソース・データ)」と呼ばれ、41項目に及んでいた。
このスクープをきっかけに、各紙が取材を始めた。
8月10日の沖縄タイムスは、現地情報隊が民間人と接触する活動を「営業」と呼び、月に2件程度の目標を設けていたと報じた。え、「営業」!
9月には朝日新聞が元隊員の証言や内部資料をもとに追跡。信頼関係を築いた相手の私生活まで記録することへの葛藤も伝えた。
そして10月14日の毎日新聞が浮かび上がらせたのは、情報部隊の何とも脱力してしまう実態だった。
