実は毎日新聞は2024年6月15日、「公園の植え込みに潜む秘密資料を『拾った』私 まるでスパイ映画」という記事を掲載している。
公園の植え込みにあった封筒には内部協議メモが…
大川原化工機の冤罪事件を取材していた遠藤記者に、公衆電話から連絡が入る。指定された公園に行くと、関係者が植え込みを指さした。そこにあった封筒には、起訴取り消しをめぐる検察と公安警察の内部協議メモが入っていたという。スパイ映画のようだ。
ところが、今回の自衛隊(現地情報隊)の記事にも次のくだりが登場する。
「スパイ映画を見て学ぶこともあったという」
ある隊員は隊舎と図書館を行き来しただけなのに、「警戒行動を怠らず、任務に当たりました」と報告していた。尾行されていないか確認していたらしい。元幹部は「秘密部隊ではなく公然部隊なのだから、隊員を尾行する人などいるわけがない」と述べている。
遠藤記者は記事掲載後のXで、大学教授の名刺をもらっただけで大喜びする隊員や、忍者村に行ってレポートを書いた隊員もいたと明かしている。ああ、かっこいい、かっこいい『VIVANT』とは何とも落差が激しい。
とはいえ、活動がどんなに脱力的でも、本人が知らないところで思想信条や私生活に関わる情報が記録されていたとしたら、やはりおかしな話ではないか。
そもそも、石井暁氏が取材してきた実在の「別班」についても、文民統制(シビリアンコントロール)を逸脱しているのではないかという疑問が指摘されてきた。ドラマなら笑いながら見ることができても、現実の自衛隊の活動はそうはいかない。
さらに、熊本日日新聞と毎日新聞がともに報じたのが、BSDを行政文書として扱っていなかったという問題だ。毎日新聞は、情報公開請求を恐れていたという元幹部の証言も伝えた。これでは、誰の指示で何をしていたのか、あとから検証できなくなる恐れがある。
小泉進次郎防衛大臣は「不適切な活動を行ったことは確認されていない」と説明している。しかし、防衛省は何を調べて、そう判断したのか。お粗末に見える活動の中にこそ、組織の暴走につながる芽が潜んでいないか。お答えを差し控えている場合ではない、のである。
