おかんの名推理

イラストレーション:みうらじゅん

「あんた、銭形平次が拾いに行ってるんと思ってるんと違う?」

 確かにそう思ってた。

「じゃ、誰が拾いに行くんやな?」

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 その時、おかんは勝ち誇ったように、「あんた、テレビよう見てへんから知らんのや。拾いに行くんは、子分のガラッ八に決まってるがな!」と、言った。

 友達の間でお金を拾うのがちょっとしたブームになったのもこの頃である。

 まだ、アスファルト道路も少なかった時代。何故か砂利道にはよく硬貨が落ちていて、僕たちは学校の帰り、下を向きながら歩いた。1円、5円、10円、流石に100円玉を拾った奴はいなかったが、捜索範囲は広がっていった。

 ある日、神社の裏道で、友達が硬貨より貴重なものを拾い、奪い合いになったことがある。

 “男だったぁーらぁー、ひとつにかけるぅ~♫”

 それは、かなりえげつないエロ本だった。

(歌詞引用『銭形平次』作詞:関沢新一 作曲:安藤実親)

ファンタ爺のめざめ

みうらじゅん

文藝春秋

2026年11月5日 発売

次の記事に続く 耳鳴りは耳に蝉、飛蚊症は目に蚊を飼っていると思い込めば、年中夏休み気分!? みうらじゅん流「老いるショック」の楽しみ方