『ファンタ爺のめざめ』

 著書『アウト老のすすめ』が続々重版のヒット作となったみうらじゅんさんが、その続編にあたる『ファンタ爺のめざめ』を上梓した。老後の不安を吹き飛ばし、日常をエンタメに変えるヒントが満載の本書から一部を抜粋し、紹介します。

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はるばるきたぜ人魚の里

1月2日
 昨年から計画してた人魚像ハンティングの旅“新潟~富山”。東京駅から上越新幹線ときに乗り込む。車内は満員。インバウンドの方々もたくさんいたが、たぶんスキー目的なんだろう。童話作家・小川未明著『赤い蝋燭と人魚』を車内で読み返しているのは僕だけと思われる。

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 新潟県上越市大潟区の雁子浜に伝わる人魚伝説から発想を得、書かれた童話と言われているのであーる。だからその日本海に面した地帯は人魚像ゾーン。在り処は調べ済みだ。しかし、心配なのは雪。新潟駅から信越本線に乗り継ぎ潟町駅に行きたいのだが、暴風を伴う大雪だと電車が止まる恐れがあると聞いた。

 “国境の長いトンネルを抜けると雪国であった”川端康成の小説『雪国』の冒頭。キャッチコピーとしても抜群の出来だけど、今はそんなこと言ってる場合じゃない。 

 でも、ヤター! 動いてた。車窓から見える辺り一面の雪。スキー客なら嬉しいだろうが、人魚像ハンターにはもうひとつ、像が雪に埋もれてやしないか? という心配があった。こればかりは現地に行ってみないと分からない。潟町駅で降り、そこから雪道を歩くこと15分くらい。人魚の絵が描かれたマンホールの蓋を見つけ、“はるばるきたぜ人魚の里♫”と、心が躍った。

 先ず最初の目的地『鵜の浜人魚館』に到着。ここは温泉とプールが楽しめる日帰りの施設なのだが、僕の目的は違う。館前にいるはずの人魚像を捜したが、やっぱり雪でその姿は埋もれてた。必死で除雪作業を行う。それが1体目(①)。

撮影:みうらじゅん

 その後、館内に入り食堂で“人魚館らーめん”と、食後に“人魚のおっぱい”というアイスを注文した(②)。

撮影:みうらじゅん