その後に行政主導で池袋は「健全化」し、街全体の雰囲気は落ち着いていくこととなった。現在も西口では、大規模な再開発計画が進行中だ。
「いまのほうが安全だったりはするんでしょうけど、僕としては昔の池袋も嫌いじゃなかったです。20代前半だった僕にとっては、すごく楽しい街でした」
グループ同士がバチバチ競争
そう語るJ氏によれば、当時の池袋の夜の業界には、明確な勢力図が存在していたという。
「具体的な名前は伏せますけど、昔は『あの系列が強い』『あのグループが勢いがある』っていう話をよくしてましたね。グループ同士がバチバチに競争している時代でもありました」
そうした勢力図を知るうえで、業界関係者が情報源として利用していたのが、「池風ネット」という情報サイトだ。もともとは「池袋ウォーカー」という名前だったらしい。池風ネットには開店、閉店、系列変更など業界にまつわるあらゆる最新情報が載っており、関係者の間では有名なサイトだったという。
「店側も、利用者側も、働く女の子たちも見ていたんじゃないかな。いまみたいにSNSが中心じゃない時代ですから、あそこが一種のインフラのような存在だったんですよ」
情報サイトを通じて、日々変化する勢力図を注視していたJ氏。それがSNSの時代になってくると、勢力間の競争は落ち着きを見せるようになったようだ。
「広告の出し方も変わりましたからね。昔は看板と案内所が情報源でしたけど、いまはスマホ一つでレビューやランキングを見られます。依然として大きなグループで強いところはありますけど、いまでは絶対的な存在ではないし、昔みたいにバチバチな関係でもないと思います。チェーン店と個人店が両方あって、なんとなく共存してる、みたいな。便利になった反面、街のなかで情報が回る感じは減ったかもしれないですね」
