しかし、委託の階層が増えれば、最終的にドライバーが受け取る条件と、荷主が支払っている金額との間に差が生じる可能性がある。
さらに問題なのは、一つの会社から仕事を受けることに大きく依存している場合である。本来、事業として独立しているのであれば、自分で仕事を選んだり、複数の取引先を持ったり、条件を交渉したりする余地がある。
しかし、特定の会社からの仕事がなくなると収入のほとんどを失ってしまう状態であれば、形式上は個人事業主でも、経済的にはかなり不安定な立場になる。
「個人事業主だから自由」という言葉だけでは、この違いを見落としてしまう。
本当に重要なのは「辞める自由」
もう一つ見落とされやすいのが、仕事を「辞める自由」である。仕事を始めるときは、車両をリースやローンで用意できるため、比較的簡単に参入できるように見える。しかし、仕事が自分に合わなかった場合はどうだろうか。
車両の契約が残っていれば、仕事を辞めても支払いが残る可能性がある。仕事を辞めることと、事業上の負担から解放されることは同じではない。だからこそ、仕事を始める前には「いくら稼げるのか」だけではなく、「合わなかった場合、どうやって辞めるのか」まで考える必要がある。
独立や副業を始めるとき、「どうやって始めるか」は詳しく説明されても、「失敗した場合にどうやって終わらせるか」まで考える人は少ない。しかし、本当に重要なのは入り口ではなく、出口なのかもしれない。
ここで注意しなければならないのは、個人事業主という働き方そのものを否定してはいけないということである。実際に、自分で仕事を選びたい人や、会社組織の中で働くことが合わない人にとって、個人事業主という選択肢には意味がある。
複数の取引先を持ち、自分で営業し、単価を交渉し、仕事量を調整できる人であれば、同じ軽貨物の個人事業主でも働き方は大きく違う。
重要なのは、「個人事業主か会社員か」という肩書ではない。どれだけ自分で仕事を選べる状態にあるのか。そして、どれだけ仕事を失うリスクに耐えられるのか。この二つを照らし合わせることが重要だ。