外資系コンサルティング会社に勤務しながら、芸能事務所に所属しアイドルを目指すトランス女性、さらしな叶夏さん(22)。インフルエンサーとしても活動する彼女が、小学校6年生から始まった壮絶ないじめや、第二次性徴における苦悩を語った。
クラスのやんちゃな男子グループから標的にされ、「おかま」といった言葉を浴びせられた。イベントでは仲間外れにされ、男女ペアを作る際には誰も組んでくれなかったという。いじめてきたのは昔からの顔見知り。仲の良かった女子たちは、いじめを見て見ぬふりをし、終わると何事もなかったかのように話しかけてきた。担任教師に相談しても、クラスが崩壊状態にあり、教師自身が泣いてしまう有様だった。
「なんでいじめるんだろう、バカだなー」
さらしなさんは、この状況を母親には話さなかった。次第に「なんでいじめるんだろう、バカだなー」と、いじめる側を達観するようになり、言い返すことすらしなかったという。「呆れるくらい陰湿で言い返す価値もないな」と感じ、「言ったところで変わらないだろう」と悟っていた。反応しない彼女に、相手も面白くなかったのではないかと振り返る。
いじめは小学校卒業までの約5か月間続いたが、「卒業すればなんとかなる」という気持ちが支えだった。校風が厳しいことで有名な地元の公立中学校に進学すれば、彼らも更生するだろう。そう信じ、さらしなさんは何を言われても気にせず、ただひたすら勉強に集中した。
当時通っていた公文式では、同学年より3学年以上進んだ内容を学習するとトロフィーがもらえる制度があり、それが大きなモチベーションになった。小学校6年生までに高校3年生までの学習内容を終える目標を立て、黙々と努力を重ねた結果、公文式の全国ランキングでは17位に入るなど、常に2桁台を維持していた。
中学校に進学すると、いじめは収まり、生きやすくなった。小学校からの引き継ぎもあり、クラス編成も配慮されていたという。しかし、学校で女子と話すことはあっても、「友達はいませんでした」と語る。スマートフォンを持たず、お小遣いもなかったため、LINEのやりとりもできず、遊びに誘われても断るしかなかった。
その頃、彼女は自身のセクシュアリティについて、まだ「トランスジェンダー」という言葉すら知らなかった。しかし、「女性になりたい」という気持ちだけは明確だった。テレビではるな愛さんのようなタレントの存在を知り、「自分のような人がいることは確実で、おかしいことではないんだな」と感じていたという。
第二次性徴が訪れると、体が男性的に変化していくことに強い嫌悪感を抱いた。「胸が欲しい」「なんで女性的に体が成長しないんだろう」と悩み、体毛が増えたり声が低くなったりすることが苦痛で、体毛は剃り、声はコンプレックスになった。父親に連れて行かれる散髪屋で、おかっぱのように短くされる髪型も耐えられなかった。毎回車から降りて逃げるなど抵抗したが、最終的には連れて行かれた。
一方で、学校生活では新たな一面を見せる。内申点を稼ぐため、中学1年から3年間、生徒会長を務めあげ、選挙でも学校でも人気者だった。成績も優秀で、当時は学校の先生になることを考えていたという。
高校は県で2番目の進学校に進んだ。本当は1番の学校を目指していたが、体育祭で男子が全裸で踊るという伝統行事があると知り、断念した。しかし、その高校生活は決して平穏ではなかった。
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