「僕が殺したも同然だ……」

 かつて母親の「行かないで!」という叫びを無視し、その死の引き金となってしまった元ヤクザ・佐藤智明氏。あまりの自責の念から、全身にガソリンを被り焼死自殺を図る。

 住民の通報で九死に一生を得たものの、焼けただれた皮膚がもたらす激痛にさいなまれる。その苦痛から逃れるため、彼が手を出したのが「後輩の差し入れる覚醒剤」だった。

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 激痛が消える快楽から重度の依存症に陥り、やがて覚醒剤取締法違反で現行犯逮捕。日本一厳しいとされる横浜刑務所の独居房へ収監され、火傷の激痛に耐えながら服役生活を送る。

 元極道、重度の火傷、薬物依存――絶望的な三重苦を背負った男が、再び生きる希望を見出せた理由とは何だったのか? 新刊『先生は、元極道 元極道講師が子どもたちのために歩む 人生「生き直し」物語』(彩図社)より一部抜粋して紹介する。(全2回の1回目)

元ヤクザの佐藤智明氏。彼はなぜ人生をやり直せたのか――(写真:高澤梨緒)

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元受刑者を救った「ある出会い」

 横浜刑務所を出所すると、門の前で僕を待っている人がいました。

 知り合いの社長でした。

 昔からお世話になっている人でしたが、迎えに来るとは聞いていなかったので、驚きました。社長は僕の顔を見ると笑顔を見せましたが、すぐに厳しい顔になって「いい加減、しっかりしろよ」と言いました。

 社長は車で近くのファミレスに連れて行ってくれました。

 テーブルに案内されると、女性がひとり座っています。

「この人がK&Tの菊池さんだ。菊池さんは障害者を支援する会社をやっている。相談したら、お前の面倒を見てくれると言ってくれたんで来てもらったんだ」

 突然のことで僕が言葉を失っていると、菊池さんは優しく言いました。

「佐藤さん、お体の様子や障害の等級など、いまの状況を話してくれますか?」

 僕は聞かれるままに自分の状況を説明しました。