解剖で明らかになった「多くの矛盾」

 しかし、解剖所見は多くの矛盾を露呈する。胃の内容物から、死亡直前に食事を摂っていた痕跡が確認されたが、発見時刻から逆算すると不可能なタイミング。また、喉の奥には瓶を押し込まれたような打撲傷、顔面にも打撲傷があり、口と鼻には乾いた血が付着していた。

 とても、事故死とは思えなかった。

 弁護士は検死審問のやり直しを求め、1人のマフィアの関与をほのめかした。しかし、大物プロデューサー、ハル・ローチ(当時43歳)らが「その名前を出してはいけない」と圧力をかけ、審問は内々に終結。警察は殺人事件としての本格捜査を打ち切り、事故死で処理した。

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 セルマの死を他殺と捉える者の間では、以下4人が容疑者として挙げられている。

 1人目は愛人のローランド。当時2人は不仲で、セルマの飲酒や浮気を巡って口論が絶えなかった。しかも彼はミステリー映画の監督経験者で“完全犯罪”を企てたとの疑惑が持たれた。

写真はイメージ ©AFLO

 が、ガレージが自身の所有物であるため、犯行現場として不自然との反論もある。