西武球場前駅にはあらかじめ3、4本の電車が待機
――試合終了時間が読めないのが野球というスポーツです。ナイターなら20時半ごろに終わることもあれば、23時過ぎまで試合が続くこともありますよね。いつ試合が終わっても対応できるように臨時電車を走らせているのですか?
石田 まさにご指摘の通り、問題は試合終了後の輸送なんです。以前は終了時間に関係なく西武球場前駅から池袋駅への直通電車を走らせて対応していました。ただ、それだと試合が終わっていないのにガラガラの電車を走らせることもあってムダが多く、急行などの速達性が高い電車が運転できませんでした。ですから、今ではいつ試合が終わってもいいように野球ダイヤでは複数のパターンを用意しておき、試合終了とともに「今日はこのパターンで臨時を出す」と判断するやり方をしています。その判断は試合展開が関係してきますから、ドームや球団の関係者と西武球場前駅の駅長が連絡を取り合って決めているんです。シーズン最終戦だと試合終了後にセレモニーがあってお客さんが残っているから、臨時の発車を遅らせようとかそういう判断が必要なので。
――つまり、試合が21時に終わったらその直後に臨時の電車が西武球場前駅を出発する、終了が21時半ならその直後に、となるように、複数のパターンを用意しているということですか。
石田 いつ試合が終わってもいいように、ですね。西武球場前駅にあらかじめ3~4本の電車を停めておいて、試合が終わったらそれを順番に臨時電車として走らせていきます。試合開始前と終了後に1本ずつ特急も走らせているんですが、こちらは特急券発売の関係もあるのでおおむね試合が終わっているであろう時間帯に決め打ちです。この他に試合展開に関係なく走る西所沢~西武球場前間の通常の区間電車もあります。西所沢行の電車の行き先を変更することもありますね。
今シーズン1番降車人数が多かったのは“あの試合”
――実際に試合終了後の乗客はどれくらいなんでしょうか。
石田 ドーム来場者の電車利用率はおおよそ5~6割なんです。これは公式入場人員と西武球場前駅の降車人員の比率なんですが、半分近くは実はクルマなどで来ています。ただ、この電車利用率はGWや交流戦のときに増えるんです。西武球場前駅の利用者が一番多くなるのは、たいてい交流戦中の土日。今シーズンでは、6月17日の中日戦で降車人員が1万9268人でした。
――正直中日戦というのは意外な気がします……。
石田 あ、これは松坂大輔投手が投げる予定だった日ですね。結局投げなかったんですが(笑)。まあこういう交流戦などだと普段はあまり来られない方が遠くから来場してくださったりするんです。その前も交流戦のヤクルト戦や阪神戦が一番でしたから。で、その中日戦、13時に試合開始で終了が16時2分。その直後に一気に乗客が増えました。試合終了後1時間後までの乗車人員は1万1602人です。それにあわせて、16時25分発の池袋行急行をはじめ、1時間で4本のパターン輸送による臨時電車を運転しています。この他に開催日には決まって走る電車を含めて、1時間の輸送力は2万560人確保しました。