82歳のベテラン女優である加賀まりこが、放送中の連続テレビ小説『ブラッサム』(NHK総合)で存在感を見せつけている。

 115作目の朝ドラとなる『ブラッサム』は、明治・大正・昭和を駆け抜けた人気作家・宇野千代をモデルとした作品だ。主演を石橋静河が務め、加賀は主人公・葉野珠の晩年を演じている。

 第1回放送では、いきなり加賀が登場。80年代の珠という“85歳の主人公”を自然体かつチャーミングに演じ、視聴者の心をつかんだ。SNSでも加賀に対して称賛するコメントが多く、主演の石橋を喰ってしまいそうなほどの人気だ。

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©文藝春秋

 そんな加賀は、宇野千代さながらに波乱万丈な人生を送ってきた。

ブレイクのさなか、パリへ“逃避行”

 加賀は1943年12月11日、大映の映画プロデューサーとして活躍した加賀四郎の娘として東京都で出生。早熟だった加賀は、高校生になると有名サロンのイタリアンレストラン「キャンティ」に入り浸り、大物文化人と顔見知りになっていたという。

 都会的な美少女として注目され、15歳のときには週刊誌の表紙を飾り話題に。17歳の時に劇作家・寺山修司と映画監督・篠田正浩にスカウトされ芸能界入りする。

 1960年にドラマへ初出演すると、1962年には『涙を、獅子のたて髪に』(篠田正浩監督)で映画デビューを果たし、本格的に女優として活動をスタート。華やかで小悪魔的なルックスが評判となり、瞬く間にアイドル女優としてブレイクする。

1962年『涙を、獅子のたて髪に』で映画デビュー(松竹公式サイトより)

 順風満帆に活躍した加賀だが、20歳のときにいきなり女優を休業。単身パリへと渡った。仕事が忙しくなりすぎ、さらに週刊誌のゴシップ記事に嫌気が差したことが理由だったという。人気若手女優がいきなり失踪したことで、当時のマスコミはセンセーショナルに報じ、大きな騒動となった。

 パリへ逃避した加賀は、世界的に有名な映画監督となるフランソワ・トリュフォーやジャン=リュック・ゴダール、作家のフランソワーズ・サガンなどと交流を深める。語学学校にも通いながら半年間近くセレブな生活を続け、女優デビュー後に稼いだ大金をすべて使い切るほどの散財を行った。

 女優として転機となる仕事にも巡り合った。国際電話にて、劇団四季の浅利慶太から舞台『オンディーヌ』への出演依頼が舞い込んだのだ。