2/13ページ目
この記事を1ページ目から読む
ワニさんに…
慌てた僕がとっさに口にした言葉は、「ワニさんにパックンと食べられてしまったんだよ」でした。
娘はそれ以来、妻に「パパの小指をワニさんに返してもらいにいこう」と必死に訴えていたそうです。僕はそんな娘が愛おしくてしかたありませんでした。
娘は誰に似たのかしっかり者に育ち、僕と歩くときは僕の服をしっかり握りしめて、僕が人にぶつからないように引っ張るようになりました。僕の喧嘩っ早い性格がよくわかっていたようです。そうして真剣な顔で僕を先導する姿に、娘の成長をひしひしと感じたのでした。
一国一城の主に
塗装工場では約2年働きました。
辞めたのは、周りの社員に小指がないことがバレ始めたからです。作業中は軍手をはめるのですが、手を握ると小指の部分だけ軍手の指が立ってしまうので、隠し通すことができませんでした。
入れ墨があるため更衣室で着替えられず、また義理の母がその優しさからシンナーを扱う塗装工場は身体に良くないから辞めたほうがいいと言ってくれたこともあり、入れ墨や指のないことなども気にしないで働ける現場仕事に転職することにしました。
