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外野ながら懸念をしていたが……

 3年間続けて、あと一歩までは近づいた。

 それでも箱根を走ることは叶わなかった。

 今年が近藤にとって最後の箱根路へのチャンスだ。にもかかわらず、故障の影響で状態は上がっていない。これだけマイナス要素が揃ってしまうと「自分は箱根駅伝には“縁”がないんだ」と考えてしまうのではないだろうか。そう、外野ながら懸念をしていた。

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 だが、近藤は強かった。

 レースが始まると、スタートからきっちりとペースを守る安定感のある走りを見せ、1時間3分44秒で全体47位。敗退校のなかでは3位の順位に入り、学生連合チーム入りを確実なものにした。

「今は終わってホッとしています。今年は4年間で一番キツイ予選会でした。今の状況では100点をあげられる走りだと思います。あとはここをスタートにして練習を積んで、自信を持って本戦に臨めるようにできるといいと思います。まだまだ満足はしていませんし、これからの自分の走りには期待しています」

いざ新春の箱根路へ ©文藝春秋

「東大のせいか理論派と言われますけど……」

 それにしてもだ。

 これで近藤にとって4度目の予選会となったが、気候状況やコンディションに関わらず、4度ともしっかりと結果を残した。これは想像以上にハードルの高いことだ。特に近藤は「東大ランナー」として1年目から過大な期待をその双肩に担ってきた。どうしても「チーム」ではなく「個人」が注目されがちな東大陸上部において、そのプレッシャーは決して軽いものではなかったはずだ。

 さらにこれまであと一歩で本戦に出られなかったという状況を鑑みると、それでも毎年、選考に絡んでくる結果を残し続けたその精神力は称賛に値する。力はあっても狙ったレースでその実力を出し切る難しさはよく分かるし、実際にそうして力を出し切れないランナーは多くいる。しかもそれを4年連続でできるという勝負強さは、一体どこからくるのだろうか。

「今年は最後のチャンスだったんですけど、それはプレッシャーというよりは『絶対にやらなきゃ!』とプラスに働いた気がします。そのプラスが自分をここまで走らせてくれたのかなと。

 東大のせいか理論派と言われますけど、自分は割と気持ちでもっていけるタイプなんです。一発『ここだ』と思ったレースにはバンッとぶつけられる。当日のレース展開も含めてそういう部分には自信をもっています。悪くても悪いなりにしっかりまとめられるし、どんな状況にもかかわらず、自分の100%を尽くして、それで結果を受け入れることしかできない。その結果を受け入れられるような心持ちで臨むのが一番大事なのかなと思っています。20kmは絶対に弱気になったら走れる距離ではない。特に今年は学生として最後ということで、ある種の“義務感”もあったと思います。それでなんとか押し切ることができました」