イラスト 中村紋子
イラスト 中村紋子

 九月に文科省が全国の学校を対象に「置き勉」を認める通知を出したわね。わざわざ通知まで出したのは、保護者などから、子供の通学時の荷物が重すぎて心身の負担になっていると訴える声が大きくなったから。「置き勉」を認めるかはこれまでも各学校の裁量に任されていたけど、多くの学校は認めてこなかったの。

 確かに子供たちの荷物は重い。「ゆとり教育」の見直しで小中学生の教科書のページ数はこの十年ほどで約一・三倍に増加。ドリルなど副教材も増え、教科書の大型化や紙質の向上も重量化につながった。ランドセルを含め平均六キロ、十キロ以上になるケースも。約三割の子供が首の痛みなどを訴えているという調査結果もあるくらい。

「置き勉」に学校が厳しくなったのは二〇〇二年の完全学校週五日制の影響も大きい。授業で学習内容がこなしきれず、宿題など家庭学習が補完的に求められるようになったのね。二〇〇六年の教育基本法改正で家庭教育の役割が明記されたことも影響している。つまり、宿題ができないから「置き勉」禁止というわけ。その他、教室に荷物の置き場所が確保できない、紛失や盗難、いたずらなどトラブルが起きる懸念などが、学校が置き勉を容認してこなかった理由にあげられているわ。

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 でも、重すぎるランドセルを毎日背負い続けるのは、子供にとって危険極まりない! 腰痛や姿勢の悪化からくる脳の働きの低下、気分がうつになるなど健康面で心配。荷物が体重の十パーセント以上になると背中や腰を痛めるという指摘もある。また、災害時を含め事故の危険も高く、安全面でも大問題よ。

 学校が最優先にすべきは子供の安全と安心。まずは早急に重量に関するガイドラインを作るべき。そして学習の中心は学校なのだから、これを機に、授業や家庭学習のあり方も抜本的に見直したいわね。